潜在顧客の反響を即座に可視化できるのがデジタルマーケティングのメリットだ。10月30・31日に開催される「ad:tech tokyo 2012」のスピーカーでもある、トヨタマーケティングジャパンの平野義孝氏とライオン宣伝部の中村大亮氏に、顧客の反響を取り込みながら柔軟に形を変えていくプロモーションの重要性について聞いた。

――ソーシャルメディアを使って展開したキャンペーンの最新事例についてお聞かせください。

平野義孝
株式会社トヨタマーケティングジャパン
プロデュース局WEBマーケティング室
室長
1991 年、トヨタ自動車入社。99 年、宣伝部に異動。車種キャンペーンでWebを活用したプロモーションを手掛ける。2010年、トヨタマーケティングジャパンに出向。トヨタのマーケティングサイト「toyota.jp」の企画運営に従事。11年、WEBマーケティング室室長に就任。

平野 われわれがソーシャルメディアを活用する最大の理由は、お客様の反応がリアルにわかるからです。反応をきめ細かく検証しながらキャンペーンのPDCAサイクルを回すことができるのが、ソーシャルメディアのメリットの一つでしょう。

 車も、かつてのようにイメージとスペックだけを訴求していては売れない時代です。しかも、売り手側が発信する情報だけではお客様は動いてくれません。ソーシャルメディア時代においては、信頼の置けるコミュニティにおいていろいろな人同士の会話が盛り上がりながら、自然にブランドイメージが出来上がっていくものなのです。

 そうした時代背景を踏まえて立ち上げたのが、ソーシャルメディアを活用した市民参加型の自然保護キャンペーンである「アクア ソーシャル フェス」です。

 このキャンペーンでは、新型ハイブリッド車「アクア」の販促を念頭に置いてはいますが、「水(アクア)」をテーマに、水質調査や水辺の清掃、外来種の駆除といった社会貢献への関心を深め、参加していただくことを活動の趣旨としています。

 現在、全国50カ所で活動を展開していますが、おかげさまで参加者の数は増え続けています。

 その中で環境にまつわる多くの会話が交わされ、「環境保護意識の高い人は、アクアに乗っている」というイメージやアクアブランドへの共感が自然発生的に形成されれば、新たな需要喚起も期待できるわけです。