これまで、省エネや創エネ、環境対応の試みは自社のCSR(企業の社会的責任)の一環という向きもあった。だが昨今、経済性というプラスアルファを見据える企業が増えている。環境を意識した取り組みが、単に顧客に対するアピール材料としてだけでなく、エネルギーコスト削減、売電収入として、企業収益に直結するからだ。

 

 企業にとって環境対応は、旧来、社会貢献による企業のイメージアップ、CSRの一環という意味合いが強かった。しかし、東日本大震災後のエネルギー不足や計画停電、節電要求による生産調整などを受け、状況は一変したと言ってよい。

 自家発電や蓄電池の導入・強化、自立運転機能の付いた太陽光発電の導入などにより、災害時の電源を確保し、自社のBCP(事業継続計画)を図る動きが急速に拡大したのだ。

 2012年7月からは、再生可能エネルギーの固定価格買取制度がスタートした。太陽光発電を例にとると、1キロワット当たり42円という買取価格が追い風となり、すでに、自社遊休地や工場、倉庫などの建物の屋上を利用した太陽光発電をはじめ、小水力、風力、バイオマス発電による「売電」事業に新規参入する企業が増加している。

 最近では、佐川急便のSGホールディングスが、18.3メガワットという大規模なメガソーラー事業への参入を発表。約300ある自社の物流施設の中から、好条件の78カ所を選び、太陽光発電装置を設置するという。