1908年に創立された奈良女子高等師範学校を前身とする国立大学法人奈良女子大学。創立当時から理工系の教育分野を設けており、100年を超える実績とノウハウを蓄積している名門大学だ。大学院教育にも力を入れ、理工系の学部卒業生の半数程度が大学院に進学。高い知識と技能を持つ女性の技術職の人材として企業からの評価も高い。

1909年に竣工した奈良女子大学記念館は国の重要文化財に指定されている

 そのキャンパスには時折、奈良公園から鹿たちが草を食みに来るという。東大寺や春日大社など、数々の世界遺産に囲まれた古都奈良の中心地に、国立奈良女子大学はある。シルクロードの東端、古代史の舞台を目の当たりにしながら、勉学に励むに相応しい閑静な環境。そこでは、高度な学術研究に基づく教育環境が提供されている。

手厚い指導を実現する小規模大学

 前身は1908年に創立された奈良女子高等師範学校。49年に新制国立奈良女子大学として発足。もともと文理の高等教育を担う教員を育てる目的の学校であったため、当初から理系の教育分野には力を入れていた。現在は、文学部(入学定員160人)、理学部(同175人)、生活環境学部(同140人)の3学部に分かれており、生活環境学部の1学科(生活文化学科・同30人)を除き、理学部と生活環境学部は理工系。つまり人数的に見れば、理工系女子の割合が高い国立の女子大なのである。

奈良女子大学理学部
棚瀬知明 教授(工学博士)

「本学の特徴は、大学院人間文化研究科(博士前期課程・後期課程)を擁する、高度な研究を行っている大学であり、基礎から応用分野までをしっかりと身に付けた人材を育成していることにあります。また小規模大学であることから教員と学生の距離感が近く、理工系の学習には欠かせない実験実習を、手厚く丁寧に指導できるメリットがあります」

 と説明するのは奈良女子大学理学部の棚瀬知明教授。理工系の学部卒業生の半数程度が大学院に進学し、修士課程を経て企業に技術職として就職する率が高いという。