バランス栄養食として、新しい市場をつくり上げた「カロリーメイト」。誕生から30年が過ぎても、そのコンセプトは色あせることなく我々の生活に溶け込んでいる。ロングセラーの背景には、常にオンリーワンを意識した大塚製薬のモノづくり哲学があった。

ロングセラーの原点は
医療用の栄養補助食品

大塚製薬 三科正宏
ニュートラシューティカルズ事業部 製品部カロリーメイト プロダクトマーケティング マネージャー

 商品開発の理想はブルーオーシャン。競合が少なく、成長力に富んだ分野でビジネスを展開できれば、成功する可能性は自ずと高まる。ただ現実には、市場の成長力と競争の激しさは比例するため、ブルーオーシャンは遠い夢であることが多い。一つ確実な方法は、それまでにない商品をつくり、自ら市場まで創出してしまうことだ。その市場は究極のブルーオーシャンであり、先行者利益を存分に受け取れるだろう。

 成功事例として注目したいのが大塚製薬の商品開発である。ニュートラシューティカルズ事業部の三科正宏さんは、「他のマネをしない。新しい市場をつくり、今までにない価値を社会に提供する。これが弊社のモノづくり哲学であり、全社を貫くカルチャーでもあります」と語る。確かに、オロナミンCもポカリスエットも、健康を基本テーマにしながら、それまでにない切り口、コンセプトから生まれたものであり、新しい市場を創出。歴史に残るロングセラーとなった。1983年、“バランス栄養食”というコンセプトで生まれたカロリーメイトも、そんな大塚製薬のモノづくりを象徴する商品の一つである。

「発想の原点は、弊社が国内で初めて開発した医療用の濃厚流動食です。五大栄養素をバランスよく含み、回復期の患者の栄養補給を目的に開発されたもので、多くの医療機関で採用されていました」