成熟市場におけるマーケティングの救世主のようにビッグデータがクローズアップされてから数年が経過したが、いまだ多くの企業がデータの持つ価値を自社ビジネスでの価値に変換するための戦略を描けずにいる。こうした現実を踏まえ、「ビッグデータで経営を変える」戦略プロジェクトを数多く手がけてきた講師陣が、ビッグデータ活用で「現場の壁を超えるポイント」を語った。

ビッグデータ事例にみる新たな価値創出

 情報システムの進歩により、ヒトやモノが相互に、空間や時間に制限されることなく大量のデータを交換するビッグデータ社会が到来した。今多くの企業がデータを収集してビジネスに活用しているが、「いかに収益を上げるか」については疑問符の付く例が多い。

シグマクシス パートナー
松尾公大氏

 ビッグデータの活用はデジタル領域とリアル領域の2つに分かれる。前者の好例はGoogleとAmazonで、これはよく知られているが、シグマクシスのパートナー・松尾公大氏が挙げるコマツ、Ericsson・MTNの事例は興味深い。

 コマツはコスト削減のために建機にセンサーを付けて走行記録等のデータを収集し、リース時の与信管理に利用している。Ericsson・MTNはネットワークのトラフィック量に応じて、リアルタイムでの料金変更を実施し、空いている時間は値引きしている。

「今後は多様なリアルタイムのデータとスマートデバイスによって、デジタル領域とリアル領域の融合が急速に進展します」(松尾氏)

シグマクシス プリンシパル
溝畑彰洋氏

 それでは、今企業に求められることは何か? これについてシグマクシスのプリンシパル・溝畑彰洋氏は「個人情報に対する配慮である」と指摘し、デジタルマーケティングについて、「個々の消費者のタイミングで起こる購買意向をそれぞれキャッチすることによる、2wayのマーケティングが実現する。企業にとっては、多様で多量のデータを蓄積・統合し、リアルタイムに分析し、マススケールのワントゥワンマーケティングが可能になる」と強調した。その特徴は、オムニチャネルを通じたあらゆる顧客接点を連携させる顧客行動の把握・アプローチの実現と、外部データ活用の2つである。