多くの日本人男性が悩む「薄毛」。その原因となる「AGA(男性型脱毛症)」について、AGA治療の専門機関であるメンズヘルスクリニック東京(旧 城西クリニック)の小林一広院長と、東京大学医学部客員研究員で女優の石井苗子氏が、その予防と治療の重要性に関して意見を交わした。後編の今回は、最新のAGA治療法や治療による患者の心理的な変化などをテーマに対談が進められた。

月間5900人超が来院する
AGA治療専門外来

石井前回はAGAの概要や予防策について教えていただきましたが、そもそもAGAが治療できることは一般的に知られているのでしょうか。また、正しい治療法について知っている方はどのくらいいるでしょうか。

小林 AGAの治療薬「フィナステリド(商品名=プロペシア)」は、1998年に米国で発売され、日本では2005年末に承認、発売されました。そこから8年ちょっとですが、なんと世界の売り上げで日本が1位になっています。つまり、それだけ頭髪を気にする国民性であり、薄毛や抜け毛が医療機関で治療ができるという一般的な認知度が高まってきているのだと思います。

 しかし、正しい知識という意味では、まだまだ知られていないと考えています。

 日本で承認されているAGA治療の飲み薬は一つしかありませんが、単にこれを飲んだだけで効果が出るわけではなく、効く人と効かない人の個人差もあるといったことはあまり知られていません。治療はもちろん、予防に関しても、正しい知識を持っている人は少ないようです。