人口の東京一極集中は
解消できるのか

 今年5月、民間の有識者による日本創成会議の人口減少問題検討分科会が、衝撃的な近未来予測を発表した。

オウチーノ代表取締役 兼 CEO 井端純一
同志社大学文学部新聞学(現メディア学)専攻卒。リクルートを経て、『週刊CHINTAI』『ZAGATSURVEY』取締役編集長などを歴任。2003年、オウチーノを設立。「新築オウチーノ」、「中古オウチーノ」、リフォーム業者検索サイト「リフォーム・オウチーノ」、建築家マッチングサイト「建築家オウチーノ」などを運営。著書に『広報・PR・パブリシティ』(電通)、『30年後に絶対後悔しない中古マンションの選び方』、『10年後に絶対後悔しない中古一戸建ての選び方』(ともに河出書房新社)などがある。

 2040年までに、全国約1800市区町村のうち896の自治体で、若年女性(20〜39歳の出産適応世代)の人口が50%以上減少、その原因として、大都市圏で雇用が拡大する介護・医療分野への彼女たちの進出を挙げている。国の推計と明らかに違う数値だが、私には、この民間予測の方が実態に近く、リアルに感じられた。

 分科会ではこうした人口減少への対策の一つに、地方の拠点都市を整備し、東京一極集中に「歯止め」をかけることを挙げている。

 確かに、大都市への人口流出は大きな問題だ。至急対策を立てねばならないのはもちろんだが、問題はその対策の中身だ。

 例えば東京一極集中を解消するために、政府は首都機能の移転を行うくらいの覚悟はあるのか。官公庁や国会が引っ越せば、人も金も仕事も移転先に付いていく。有効な成長戦略が打ち出せないいま、口先でなく、まず隗より始めよ、を実践すべきだ。

 しかし、ことはそう簡単には運ばない。慶應義塾大学の竹中平蔵教授は、安倍内閣の成長戦略の目玉の構造改革特区に対し、「東京が一番積極的ではない」と指摘している。税収豊かな自治体ほど甘んじて動かず、格差は開くばかり。全く嘆かわしいが、それが現実なのだ。

不動産の税制改正で
海外からマネーが流入

 では、他に打つ手はあるのだろうか。ここで私は1つの提案をしたいと思う。不動産の税制改革に着手するのだ。

 まず、海外のお金持ちには、日本の不動産に対する投資を加速させてもらいたい。昨年、訪日外国人旅行者数が、初めて年間1000万人を突破した。中国のサイトを見ると、「日本は全くいい国だ」などと書いてある。実際に来日した人々の印象は非常によい。不動産投資も、もっと増えてよいはずだ。