年間20万円を超える消費税の増税負担分。大幅な年収アップが望めないなら投資による資産倍増を目指そう。東京市場には東京オリンピックという起爆剤がある。

フィスコ
情報配信部長 村瀬智一

1999年に入社。需給面から相場の流れを探り、タイムリーな情報配信を旨とする。テーマに強い

 覚悟していたこととはいえ、消費税が8%に引き上げられた4月以降、若者言葉を借りればモノの値段が「ハンパなく高くなった」。第一生命経済研究所の試算では年収1000万円以上世帯の負担増は、消費税8%時で年間14万2147円、来年10月に予定されている10%時で23万6911円にもなる。一方で増税に見合った賃金アップは望めないし、乾いた雑巾を絞るような節約でも追い付かない。であればここは、余裕資金の有効活用を考えるべきではないか。

 目先の投資環境はアベノミクスを材料とした上昇が息切れして個人投資家がうかつに手を出せない状況に映るが、裏を返せば絶好のタイミングともいえる。なぜなら3年、5年という長期投資のタームで見た場合、2020年に東京オリンピックという大イベントを起爆剤とした上昇が期待できるからである。

 オリンピック効果はいかほどか。東京都の試算では、競技施設や大会期間中の来場者延べ約1000万人を収容するための関連施設の建設など直接的な経済効果を3兆円と見積もっている。民間の試算はその3、4倍も大きく、150兆円を見込む証券会社もある。

五輪開催は確実に
成長率を押し上げる

東京オリンピックのメイン会場となる新国立競技場。イラク出身の女性建築家によるデザインで、巨大で斬新なフォルムが話題になっている (東京招致委員会提供/写真・時事)

 過去の例を見ても、オリンピックの経済効果は確実に望める。1964年の東京大会以降、オリンピック開催国の開催年の実質GDP成長率は平均して前年比5.8%を記録しており、世界全体を2%上回っている(三菱東京UFJ銀行調べ)。開催4年前ころから成長率が加速し、開催年にピークをつけるケースが多いという。東京オリンピックに当てはめると16年ごろから成長率が加速し20年にピークを迎えるはずだが、投資の材料として捉えるならば「前倒しして18年、19年と考えるべき」とフィスコのアナリスト・村瀬智一氏はアドバイスする。