太陽光発電モジュール専業メーカーとして前身のMSKから数え、30年以上の実績を有するサンテックパワージャパン。今年、中国「順風光電国際」が中国の親会社と合併し、垂直統合が実現した。リスタートした同社の強みと今後の戦略を、代表に聞いた。

 サンテックパワージャパンは2006年に世界最大級の生産能力を持つ中国の「サンテックパワー」と資本提携。その後、08年には日本国内での販売やサービス体制を整え、外資系企業としては初めて、住宅向け太陽光発電システムの開発・販売を本格化させた。

 この間、他社に先駆けて25年というモジュールの長期保証(周辺機器は10年)を打ち出すなど、産業用・住宅用の太陽光発電事業を牽引してきた。

導入のコンサルティングや小規模産業用にも注力

代表取締役社長
山本 豊

 そんな同社に危機が訪れたのが13年のこと。生産拠点の無錫サンテックパワーが、モジュールの世界的な供給過剰や米国での反ダンピング訴訟の煽りを受け債務超過に陥り、中国で会社更生法の適用を受けたのだ。

「幸い、再建のプロセスでも生産が止まることもなく、日本への供給や保証も継続されました。13年は苦労の1年でしたが、今年4月には順風光電国際との合併が正式に完了し、シリコン材料の生産から発電までを行う垂直統合型事業モデルの中で、中核的な存在として新たなスタートを切りました」(代表取締役社長・山本豊氏)

 5月には、苦しい時期に支えてくれたサプライヤーや関係者に、支援への感謝と今後の報告イベントを挙行。取引も以前のレベルに回復したという。
「産業用と住宅用の両方で、モジュールの販売に加え、今後は導入時のコンサルティングなどにも注力します。特に50キロワット未満の小規模産業用を、積極的なシステム提案で伸ばしたい」

 同社では、高性能なモジュールの販売だけでなく、国内3ヵ所の物流拠点や170ヵ所のサービス拠点、外資系唯一の国内生産拠点を活かし、迅速な配送やメンテナンスなどソフト面の充実にも気を配ってきた。

長期保証とサービスを重視し発電・売電事業にも参入

「期末と消費増税が重なった今年3月は、各社で太陽光発電システムの納品・配送遅延があったと聞きます。関係者から、この3月に出荷遅延がなかったのは当社だけと聞いたのは誇らしいことでした。現在、太陽光発電の導入選定に当たって、モジュールの差別化だけでは難しくなってきている。今後は、物流面やメンテナンスなど、よりソフト面を強化していきます」

福岡県鞍手郡に設置された同社のモジュールを用いたメガソーラー。総出力は3215.52kW。なお、モジュールの累積出荷量は、世界80ヵ国で8G(ギガ)W、3000万枚を越える。(写真提供/芝浦グループホールディングス)

 太陽光発電は、長期にわたって利用し続けるもの。メーカーや設置業者にも長期の安定した事業継続が求められる。同社ではそのことを視野に、新たに発電事業にも参入する。

「発電・売電をする新会社を設立しました。出力の大小を問わず、今年度中に400~500メガワットの設置許可を得るのが目標です。15年度からは実際に発電を開始し、以後、毎年100メガワット程度を積み上げていければと考えています。また、売電については、16年からの小売り自由化も踏まえ、さまざまな方法を検討していきます」

 モジュール専業メーカーから、導入時コンサルティングの強化、そして発電事業へと、利益重視経営で、果敢な挑戦を続ける。