大規模な太陽光発電の設置で業績を伸ばすグリーンリバー。九州新幹線などでの土木工事で培った技術力、開発力を武器に、設置用地や環境に応じた架台・基礎工事を全国で行い、省力化、施工技術の標準化にも資すると注目を集めている。同社の取り組みと今後を追った。

グリーンリバー代表取締役 長瀬勝義

 太陽光発電事業の認可を受けながら、着工の遅れが指摘されている。経済産業省が発表した「再生可能エネルギー発電設備の導入状況」(2013年10月時点)によると、設備認定を受けた産業用の太陽光発電所のうち、運転を開始したのは出力ベースで17%に過ぎない。

 稼働済みの太陽光発電所の総出力は3827メガワットで、このうち出力が1メガワット以上のメガソーラーは1080メガワットと、全体の28%となっている。

 そんな中、九州や関東を中心に、メガソーラー設置で業績を上げているのがグリーンリバーだ。累計130メガワットの設置実績があり、全国ベースで12%、地盤の九州では43%という高いシェアを誇る。

 代表の長瀬勝義氏は「当社がシェアを伸ばしてきた背景には、長年培ってきた土木工事のスキルと経験があります」と話す。

3+2の5工法で、作業を簡便化。傾斜地等にも対応

「私やスタッフの多くが、九州、北陸新幹線やLNG基地タンクなどの構造物型枠工事を十数年にわたって経験してきました。そのため、傾斜地やデコボコな土地でも、立地に応じた架台を安全・確実に設置できます」

 屋根置き式とは異なり、メガソーラーでは、効率よく、かつ耐久性にも優れた架台を作ることが事業収益面で不可欠だ。

「現在、候補地の特性に応じて三つの工法を駆使しています。開発中の工法も二つあり、多数の人員と日数を要した作業工程を変革し、設置が難しい場所での事業も可能になります」

本社(久留米)
福岡県久留米市にある本社のほか、市内に8100平方メートルの工場を有する。福岡市博多区には福岡オフィスも設置。

 同社の工法の特長は、コストダウンと工期短縮が図れる点だ。久留米市の工場で大枠まで作成した部材を現地に運び、特段の専門スキルがない人でも、現地で杭の打ち込みや架台の設置工事ができる新工法を開発。

「一般的な架台設置の現場では5~6の工程ごとに、型枠大工や鳶職人、土工や電気工などの職人さんを入れ替わり呼んで工事をしています。当社の工法は、それを現場の一作業員が一人でもやれるよう工夫しました」

 例えば1メガワットのメガソーラーの架台構築には、従来工法では1日当たり20人程度の職人が必要だが、同社の工法を用いれば5~6人で対応でき、しかも施工期間も短縮される。

東京オフィス
2014年5月、東京都千代田区に開設。「現在、グループ全体で60名弱のスタッフを2~3年後に100名程度に増やしていく予定です」(長瀬氏)。

「東京オフィスを開設し、全国でメガソーラーや小規模のプチソーラーにも対応。また当社の工法や部材の他社へのレンタルも始めています。事業者や職人さんとの提携や人材育成にも注力し、オープンソースのような発想で、太陽光発電自体を盛り上げたい。さらに本年度中に小風力用の基礎開発・施工を手がけ、株式上場や海外進出も視野に入れています」

 大手家電量販店や、九州で太陽光発電の施工実績を積むエフォートなどと提携し、さらなる事業展開を図りたいという。同社のコストダウン工法によって、遅れがちな産業用太陽光発電ビジネスの活性化が期待される。