13歳未満の子どもを狙った犯罪が再び増え始めた。『2014年警察白書』によれば、子どもを連れ去る略取誘拐やわいせつ犯罪が目立つ。親は子どもの安全をどう守ればいいのか?

安全教育とITで子どもの
セキュリティをより効果的に

 子どもが被害者となる犯罪は2004年以降減少傾向にあったが、14年は2万6939件と前年より1327件も増加した。警察では学校と連携を取りながら通学路や通学時間帯に重点を置いたパトロールを強化しているが、一瞬の隙を突いた犯罪が後を絶たない。

 危機管理アドバイザーの国崎信江氏は、「確かに現在ではGPS端末を防犯対策に取り入れている人は多いと思います。従来の対策に加えて、例えば通学路に防犯カメラを設置し、子どもにGPS端末を持たせ、家庭で防犯教育を繰り返し行うという地域と学校と家庭が一体となった防犯対策が求められています」と指摘する。

危機管理アドバイザー
国崎信江氏

くにざき・のぶえ 危機管理教育研究所代表。生活者の視点で防災防犯事故対策を提唱。文部科学省地震調査研究推進本部政策委員、同省防災科学技術委員などを務める。講演をはじめ、TVや新聞など各メディアで活躍。著書に『決定版 巨大地震から子どもを守る50の方法』(ブロンズ新社)など多数。

 その中でアナログではあるが、家庭の防犯教育は今日から実践できると国崎氏。「親が仕事で不在の場合、子どもが家から出るとき、遊び先から帰るときなど移動時には決められた方法で連絡することを約束させる。そして知らない人には付いて行かないことを繰り返し教えるのが大切です」。

 GPS端末を持たせているのであれば、定期的に居場所を確認するのが大事。「子どもの行動パターンを熟知していれば、子どもが普段行かない場所を検知したとき、異常事態の可能性が高いと判断できる」と語る。

 しかしそれでも安心はできない。国崎氏によると子どもが想像する悪い人は、いかにも凶悪犯という風体だという。そのためニコニコした優しそうな人には警戒心が薄くなり「向こうにゲーム機を忘れていない?」というふうに誘われると気を許してしまうという。「人生経験豊富な高齢者の方でさえ電話一本で振り込め詐欺の被害に遭うくらい犯罪者は巧妙ですから、子どもをだますのは簡単なのです」(国崎氏)。優しそうな相手であっても「向こうへ行こう」というような「今居る場所から移動させる意図を含む言葉や行為」があったら「嫌だと言って逃げることを繰り返し教え込む必要があります」(国崎氏)。

 安全のためにはこうしたアナログ的な安全教育と現代のITツールをうまく組み合わせて使うのが効果的だろう。ツールは「与えたから安心というのではなく、持たせる端末ごとのメリットを理解した上で」(国崎氏)、日頃から子どもの行動をよく把握して利用したい。

「ポケットの中など“相手から見えない”ところに一つ、抑止効果も期待できる“見えるところに一つ”と二重にしておくとさらに安心」と国崎氏は教えてくれた。親としては、できるだけの対策をしておきたいものである。