斎藤 顕一
フォアサイトアンドカンパニー代表取締役 ビジネス・ブレークスルー大学・大学院教授

 日本国内のB2Bビジネスにおいて、売り上げ全体に占める「既存顧客」の割合が、85~90%に達する企業は決して珍しくない。リーマンショック以降は、新規顧客の獲得がますます困難になっているという背景もあり、企業の業績を上げるうえで既存顧客をどのように維持強化していくかが、経営上の重要なテーマとなっている。

 ところが多くの企業においては、新規顧客を獲得することに人材や予算が優先され、既存顧客への対応はないがしろにされているという現状がある。

 ビジネス・ブレークスルー大学経営学部の教授を務め、経営コンサルティングを専門に行うフォアサイトアンドカンパニー代表取締役の斎藤顕一氏は、この問題を次のように分析する。

「長く取引のある顧客の場合、『これまで上手くいっていたのだから、まさか契約が無くなることはないだろう』と考えてしまいがちです。ところがバブル崩壊以降の失われた20年において、既存顧客のロイヤリティはかつてないほど低下しています」

 その結果として、たとえば小さなクレームなどを機に、ライバル企業に大口の顧客を奪われる事例が増えているという。これには、日本の企業の多くがこれまで「経験ベース」に従った意思決定を重視してきたことに大きな原因がある。つまり過去の実績や事例、売り上げとの対比にのみ囚われるあまり、顧客における現在の課題や、ニーズの変化を見抜けなくなっているのだ。

 なぜ、企業は既存顧客のサポートが十分にできないのだろうか。

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