最近、「京町家」が人気だ。昔の造りと味わいを生かし、現代の居住性能を持たせてリノベーション(再生)した町家が、2000万~3000万円台からという価格帯で次々と売り出されている。買い手は京都の人もいるが“京都府外”の人が多い。人気の理由を、売り出し中の町家を見ながら考えてみた。

古い町家を
構造躯体から再生

北野天満宮の東側、歌舞練場がある上七軒そばの町家。表の路地に面した和室を土間に変え、台所と工房はつないで広い吹き抜けのLDKにした。窓を開け放てば路地から奥の坪庭まで、爽やかに風が吹き抜ける。床暖房も入って快適。階段の横には天井に至る大きな壁面棚を設け、2階和室からはLDKが見下ろせる。

「伝統ある京都のお茶屋街・上七軒(かみしちけん)のすぐそば。虫籠窓のある伝統的な外観の町家には、玄関を入った所に広い土間スペースをつくっています。小さなお店を営んだり、ものづくりのアトリエがある暮らしはいかがですか?」

 そんな誘い文句にひかれて、京都市上京区の北野天満宮近くの路地を入ったところにある、小さな町家を訪ねてみた。

 敷地は58.14平方メートル(約18坪)。築年数は不明だが、軽く60年以上はたっているという。周囲には同程度の小ぶりな町家を、改修や増築して住んでいる人が多い。

 売り出し中の町家は、黒地に白い窓枠が強烈なインパクト。2階屋だが、高さは周囲の2階建てよりぐっと低いようだ。

「いかがですか? 古い町家には、だいぶ崩れているものも、いったん改修して町家らしくなくなっているものもあります。私たちはどれも構造まで裸にして、危ないところは全部補強し、しっかりとリノベーションして販売しています」と、八清(はちせ)の西村直己専務。同社は、市内で町家を手がける企画提案型の不動産会社だ。