マウイ島と富士登山で高山病に襲われた
外資系広告代理店プランナーTさん(40歳)

マウイ島観光でその兆候が…
激しい頭痛と吐き気に襲われる

 Tさんは、外資系広告代理店のプランナー。コピーライターの妻との2人暮らしで、子どもはいない。年末年始と夏休みの年2回、妻とバリ島などのアジアのリゾートか、ハワイに海外旅行をしている。

 前回の旅行もハワイのオアフ島だった。その旅行のワイキキ滞在中、1日だけオプショナルツアーのマウイ島観光に参加した。賑やかなワイキキと違い、マウイは昔のハワイらしさが残るのんびりとした空気があった。

 観光バスで、マウイ島で最も標高が高いハレアカラ火山の山頂を目指しているときにバスガイドから説明があった。

「間もなく標高3000メートルを越えます。山頂はとても風が強く、寒いですから上着を来てください。地上より酸素が薄いので、くれぐれもゆっくり動いてください。また気分の悪い方は申し出てください。たまに倒れてしまう方もいますので…」

 そのアナウンスを聞きながら、すでにTさんはフワフワした感覚とともに激しい頭痛と吐き気に襲われていた。しかし、山頂からの景色を楽しみにしている妻を見ていたら、気分が悪いと言いだせずにいた。ノロノロとバスを降りた途端、めまいに襲われ、その場で動けなくなってしまった。

 意識はあるが、足が鉛のようになって動けない。やっとのことでバスに戻り、座席でじっとしていた。頭に心臓が入っているかのように、ドクドクと音がして激しい頭痛がする。息苦しい。心配そうに見守る妻に見守られながらじっと目をつぶっているしかなかった。

 30分程度の自由時間のあと、他のツアー客がバスに戻ってきた。バスが山頂から次の目的地の港町ラハイナを目指し、つづら折りのカーブを何度となく曲がった。そのたびに吐き気を我慢した。ラハイナに着く頃、ようやく吐き気と頭痛から解放された。

 翌日ワイキキに戻り、同じツアーに参加している医師にマウイ島でのことを話した。医師は「軽い高山病ですね。高山病はあなどれませんから、すぐ回復してよかったです」と笑顔で話してくれた。