闇株新聞[2018年]

世界最大の広告代理店・電通(4324)の
報道されないタブーについて語ろう闇株新聞が踏み込む「伏魔殿」

2016年11月17日公開(2022年3月29日更新)
闇株新聞編集部
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東京五輪を取り仕切るのは森喜朗か小池百合子か!? 否、真の黒幕は世界最大の広告代理店企業・電通(4324)です。最近、過重労働問題で控え目に批判的な報道がありましたが、これは深く大きな闇の「氷山の一片」に過ぎません。実はネタだらけの真っ黒な企業でありながら、政財界に影響力が強くほとんど報道されないのが実情。そんな電通の闇がこれから刺激的な金融メルマガ『闇株新聞プレミアム』で少しずつ取り上げられる気配あり。まずは人気シリーズ「株式市場の今後の勝ち組・負け組」に登場です。

なぜ大マスコミは電通の闇を取り上げないのか!?

 電通を「株式市場の今後の勝ち組・負け組」シリーズで取り上げるのは初めてです。このネタだらけの真っ黒な企業を本紙がこれまで取り上げてこなかったのには理由があります。どんなネタも他のマスコミが完全スルーしてしまうため、本紙だけが取り上げてもまったく問題にならないからです。

 オリンパス事件も、国内のマスコミは完全スルーしようとしましたが、外国メディアが誤解混じりで報じたところで世間がざわつき始め、本紙が真実を解説したところで大騒ぎになりました。ですが、電通に関しては外国メディアが何かを探り、掴んでいるような気配もありません。

[参考記事]
●闇株新聞とはいかなるメディアか!?「オリンパス事件の闇」を振り返る(2015年9月1日)

 上記「参考記事」にも書いてありますが、経済事件(まだ「事件」になっていないものも含め)や企業事件とは、起きた順・悪質な順に明るみに出るわけではありません。闇から闇に葬られ、うやむやにされてしまうことも多いのです。ですから本紙はマスコミの報道が先行するまでは書かず、報道されたらすぐに「理解している事実」を伝えることを基本スタンスにしているのですが、その報道がないのです。

 最近、労働基準法違反の疑いで厚生労働省の強制調査を受け、マスコミが大変控え目ながらも取り上げ始めました。前途有望な若手社員が自殺に追い込まれた事件は、それだけ痛ましく衝撃的なことでした。

 ですが、これによって何か風向きが変わるかは微妙です。確かに電通が抱える闇を(ほんの一部とはいえ)国内マスコミが報じたことは大きな変化ですが、はたして持続するものかどうかわかりません。そのうち「すっと」消えてしまうようかもしれません。

 それだけ電通の各マスコミに対する優越度は大きく、また各分野の実力者の子弟を優先的に入社させ政治的影響力を持つがゆえに「アンタッチャブルな存在」なのです。本紙は今回の強制捜査は「何かもっと大きな闇」を覆い隠すためのカモフラージュであると見ています。

 実は本紙はこれまでも幾度か「電通が黒幕であるはず」の事件を取り上げてはいます。しかし、もちろん電通に批判が集まることはありませんでした。それだけ電通の闇は深いということです。しかし、そろそろ『闇株新聞プレミアム』で本腰を入れて取り上げてみようと思うのです(※本連載はあくまで収益状況などからの分析です)。

そもそも電通とはいかなる企業なのか!? 

 電通は、グループとしては世界第5位(単独では世界最大)の広告代理店です。1901年に光永星郎(みつながほしお)が設立した「日本広告」を前身とし、1907年に同じく光永が設立したニュース通信会社である「電報通信社」を合併して社名としました。1936年にニュース通信部門を国策で分離させられ(報道管制のため)広告代理店専業となりますが、社名だけは「電報通信社」のままで1955年に「電通」となって現在に至ります。

 広告代理店・電通の最初の飛躍は、1947年に社長となった吉田秀雄の時代で、猛烈営業で今日の広告取引システムの原型と圧倒的シェアを確立してしまいました。

 「中興の祖」は1993年に社長となった成田豊で、電通の出世コースである新聞雑誌局長(当時の広告媒体は新聞雑誌だった)から1981年に取締役となったあたりから、海外スポーツにビジネスチャンスを拡大していきました。

 ちょうど1984年のロサンゼルス・オリンピックあたりからスポーツに商業主義が持ち込まれ、やがて巨大なスポーツ利権が発生していった時代に合わせ、成田はオリンピックだけでなくサッカー・ワールドカップ、F1などにも放映権の卸売りとスポンサー集めによる日本での利権構造を確立していったのです。

 ちなみにこの成田とともに海外のスポーツ利権に深く関わっていたのが専務取締役まで上り詰めた高橋治之で、2009年に電通を退社して顧問となったあとも海外がらみのスポーツ利権には必ず名前が出てきます。「イ・アイ・イ」総師だった故・高橋治則の実兄で、何と2020年東京オリンピック・パラリンピック組織委員会(以下、組織委員会)理事に名前を連ねています。

編集部注「イ・アイ・イ」とは?
イ・アイ・イ インターナショナルのこと。バブル期に日本長期信用銀行などから多額の融資を受けて世界中のリゾートを買い漁り、国内外で大々的にリゾート開発・ホテル事業を展開。バブル崩壊により巨額の負債を抱えたまま破綻した。元社長の高橋治則は「長銀を潰した男」とも称される。

東京オリンピックを牛耳る「伏魔殿」

 組織委員会は、オリンピックという巨大ライセンスビジネスを取り仕切るIOCの下部組織JOC(日本オリンピック委員会)や、費用の大半を負担する開催都市の東京都、そして日本政府までをも押しのけて、日本におけるオリンピック利権を独り占めする「最大の伏魔殿」です。

 組織委員会を取り仕切るのはスポーツ族の親玉である森喜朗会長、財布を独占的に握る事務総長が元大蔵省事務次官の武藤敏郎、それに唯一の「マーケティング選任代理店」が電通というトライアングルです。高橋治之が理事に名前を連ねることで、電通としては(OBを含め)ダブルで利権に食い込んでいることになります。

 順番が逆になりましたが、電通はオリンピック招致にも深く関わっています。2016年オリンピックでは150億円の予算をかけたのに招致に失敗、電通が関わった怪しげな資金を表に出せないため少なくとも18億円を「使途不明金」としてしまいました。

 また2020年オリンピックは招致できたので75億円の招致予算を89億円まで膨らませたものの「電通が紹介した怪しげなコンサルタント会社」に2億3000万円を支払っていたことが海外の捜査当局から明らかになりました。しかし、もちろん真相は「うやむや」になっています。

 電通の闇の大半は追及されず、いつの間にか「忘れ去られて」しまうのです。

増収増益の独占企業だが「勝ち組」とできない理由とは!?

 さて、今回は株式市場の「勝ち組「負け組」を判断するシリーズですので、決算を見ておきましょう。電通は12月決算ですが、7~9月期(1~9月期)の決算短信発表が11月14日でしたので、1~6月決算の数字で見ていきます。

 売り上げに相当する売上総利益は3686億円(前年同月比3.5%増)、営業利益が586億円(同34.7%増)、最終純利益が357億円(同54.0%増)と増収増益となっています。また1株当たり40円の中間配当も支払っています。

 ところが決算短信をよく見ていくと、その他の包括利益の中に「純損失に振り替えられる可能性のある損益」として在外営業活動体の換算差額など1594億円の「損失」が計上されています。2016年1~3月期決算から計上されているようですが、詳しい説明が一切ありません。

 貸借対照表ではその損失をすでに差し引いているようで、2016年6月末の純資産は9331億円まで減少しています。まあ「これだけなら」電通の屋台骨が揺らぐほどのものではありませんが、海外関連や国内興行関連でいろいろ悪い噂も聞くため、まだまだ爆弾が潜んでいる気配がします。

 また電通はセグメント別の収益も公表していませんが、もちろん収益の大半を広告代理業で稼いでいるはずです。ところが最近はネット広告、とくにスマートフォンを媒体にした広告が急拡大しています。ネット広告はこれまで電通の主戦場だった「濡れ手に粟」の広告取引システムとは大きく異なり、大変に手間暇のかかる薄利多売のビジネスモデルです。

 電通は人件費が高くプライドも高いため、薄利多売で中小業者とも競争しなければならないネット広告に「完全に出遅れている」ようです。つまり本丸の広告代理業まで大きく浸食され始めており、恐らくは2~3年のうちに問題が大きくなり顕在化するでしょう。

 電通の先週末(11月11日)の株価は5310円、時価総額も1兆5300億円あります。また会社予想ベースのPERは18.6倍、実績ベースのPBRは1.62倍、予想配当利回りが1.5%です。

 可もなく不可もなくといった水準ですが、電通の実態を知れば知るほど、株価的にも「勝ち組」とするわけにはいかないような気がします。

 本連載で取り上げるのはここまでですが、刺激的な金融メルマガ『闇株新聞プレミアム』では今後もこの企業について少しずつ、つまびらかにしていく予定です。ご期待ください。

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