FP花輪陽子のシンガポール移住日記
【第26回】 2017年10月3日 花輪陽子

シンガポールの超富裕層と出会える意外な場所は?
庶民的な面もあるシンガポール富裕層の生態や
中華系・インド系富裕層の特徴をリポート!

 ファイナンシャル・プランナー(FP)の花輪陽子です。

 シンガポールには超富裕層がたくさんいて、街中にはフェラーリがバンバン走り、エルメスやシャネルなどの高級バッグを持っている女性にもしょっちゅう出会います。シンガポールでは外車に課せられる税金が非常に高いので、フェラーリを買おうとすると、途方もないお金が必要になりますが、それでもよく見かけます。

 国土が狭く、人口が少なく、超富裕層の人口密度が非常に高いのが、シンガポールという国です。そのため、特別意識していなくても、子どもの学校や習い事、その他さまざまな場面で、富裕層と知り合う機会が生まれます。

 そこで今回は、私が実際に出会った、シンガポールにいる世界のお金持ちの知られざる生態をご紹介したいと思います。

シンガポールは狭い国土の中に「超富裕層」が集まっている国

 ボストンコンサルティンググループの「世界の家計金融資産に関する調査(2015)」によると、金融資産が1億ドルを超える「超富裕層世帯の割合が多い国」は、1位が香港(10万世帯あたり15.3世帯)で、2位がシンガポール(同14.3世帯)、3位がオーストラリア(同12.0世帯)でした。

シンガポールのコンドミニアム富裕層と言えど、一戸建てに住む人は少なく、コンドミニアムに暮らす人が多数派です。

 香港とシンガポールは、税金を優遇する制度を整えることによって、富裕層を世界各国から呼び込んでいます。オーストラリアには投資家ビザ(投資家を優遇し、居住権を与えるもの)などもあり、富裕層の移住先として選ばれやすいようです。

 なお、割合ではなく、超富裕世帯の「数」が純粋に多い国は、1位が米国(5201世帯)、2位が中国(1037世帯)、3位が英国(1019世帯)です。

 ちなみに日本はというと、金融資産が1億ドルを超える超富裕層世帯の割合のランキングでも数のランキングでも、上位には顔を出してきません。

 ただし、同調査によると、日本で100万ドル以上の家計金融資産を持つ「富裕層世帯」は約110万世帯で、1位アメリカ(約690万世帯)、2位中国(約360万世帯)に次いで世界第3位でした。日本は日本円で1億円超の資産を保有する富裕層の世帯数は世界的に見て多いことがわかります。

インター校の保護者交流に、ビジネスチャンスが潜んでいることも

 さて、そんな富裕層の人口密度が高い国・シンガポールですが、私が実際に富裕層と知り合う機会が増えたのは、やはり子どもをインターナショナルスクール(以下、インター校)に入れてからです。

 私が子どもを通わせているインター校は、中華系・インド系の富裕層が多いです。この学校は、日本だとちょっと考えられないことですが、学校のポータルサイトで保護者が自分のビジネスの紹介をできるなど、ユニークな側面を持っています。

 保護者が学校にどんどん関わっていくのが大きな特徴で、保護者会では子どものためのイベントだけでなく、保護者だけの交流イベントも設けています。イベントは、学校が主催するもの以上に、保護者会主催イベントが多いくらいです。

 この保護者の交流イベントでは、さまざまな富裕層と知り合うことができます。以前、保護者会の代表が、新入生の保護者を自宅に招いてくれたことがあったので参加してみると、リビングだけでも100平米以上ある豪邸でした。

 このような環境ですから、保護者同士の交流から、人によってはビジネスチャンスを掴めることもあるでしょう。そういったことを見越して、あえて高い学費を支払ってでも、インター校に入れたいと思う人が多いのかもしれません。

趣味の場、学びの場にも富裕層と知り合う機会は転がっている

 あるいは趣味のコミュニティで、不意に富裕層とつながることもあります。これはシンガポールに限ったことではありませんが、SNSにはさまざまな人が参加しており、その中には富裕層も含まれます。

 私は趣味専用のインスタグラムを持っており、そこに英語で特定の商品を載せていたら、その商品が好きな世界中の人たちとつながることになりました。なかには、ニューヨーク在住の超富裕層もいます。私の趣味は、特別富裕層の注意をひくようなものではないものの、つながった人の中にはシンガポール在住の富裕層も偶然含まれていたため、オフ会で会って仲良くなりました。

 また、仕事をしながら、現地の大学のビジネスマン向け修士課程に通っている夫によると、そこには運転手付きの会社経営者(もちろん富裕層)が多いそうです。

 このように、日本で暮らしていたときは、それほど富裕層と知り合うきっかけなどありませんでしたが、シンガポールでは特別意識していなくても、世界の富裕層につながっていくところが面白いです。

富裕層は教育にエネルギッシュで、子どもの将来のライフプランが明確

 インター校に話を戻しましょう。私の子どもが通っている学校には、中国やインドから母子留学で来ている学生(父親は自国でビジネスを経営)が数多くいます。

 特に中華系の人々は、早期からライフプランを周到に練る傾向が強いです。出産をあえて米国でして、子どもに米国のパスポートを取らせている人もよくいます。

 子どもが小さい頃の教育は、自国から距離が近く、安全で、米国よりは学費の安いシンガポールを選択する家庭も多いとのこと。ですが、最終的には大学も就職も米国で、と考えている家庭が大半のようで、子どもの幼いうちからライフプランが明確になっていることに驚かされます。

 中華系・インド系の富裕層の方とは、子どもの関係で日常的に交流するようになりました。どの方も教育に対してエネルギッシュですが、一方では細やかな親切さを持ち、面倒見のよい方が多い印象です。富裕層だからといって偉ぶった様子の人は、(少なくとも私の周辺では)ほぼ見かけません。

富裕層にはムダなところに絶対お金をかけない人も多い

 一方で、特徴的だと感じるのが、お金持ちだからといって、日常的に金遣いが荒い印象の人があまりいないことです。もちろん、デザイナーズブランドの洋服を身にまとってファッショナブルなので、お金は使っているのでしょう。

 しかし、普段はお金を湯水のように浪費する様子などありません。むしろ、悪い言い方になりますが、一般的にケチと言われるような行動をする人もよく見かけます。

 たとえば、インター校の保護者の方とお茶をすることになったとき、急に相手に銀行に連れていかれたことがあります。その銀行には、一定額以上の預金があると利用できるお得意様用の無料ラウンジがあり、彼女はそのお得意様の一人だったのです。私も一緒に無料でコーヒーとクッキーをいただきましたが、最初はちょっと面食らいました。

 また、ホテルに泊まる際には、バトラーなどにパッキングまでお願いしてしまう、という話を聞いて驚いたことも。サービスは使い倒すのが、彼らの(それは中華系の方でしたが)流儀のようです。

 シンガポールは突然雨が降ることが多いですが、傘がなくて困っても絶対に買わず、お店やホテルで借りて済ます人もいます。富裕層なので、傘くらい買ってもいいのでは……と思ってしまいますが、それでもムダ遣いはしたくない、とこだわっているところが何だか面白いです。

 夫は今度、学校の関係で、富裕層のクラスメート達とともに、インドネシアのジャカルタに行くそうですが、ホテルの予約時は、みんなでいかにして安く泊まれるかを競い合ったそうです。

 コネがあったり、ホテルのお得意様になっていたりするからこそ高級ホテルを値切れるのですが、いくらお金があっても余計なところには絶対かけたくない、という価値観が垣間見えました。

 さて今回は、シンガポールの富裕層の実態について、私が実際に接した方たちの行動や印象などを交えて、お話ししました。

 欧米諸国では、富裕層には富裕層のコミュニティがあり、あまり一般の人が日常的に気軽に彼らと話をするような雰囲気ではなさそうですが、一般の人と富裕層との間に垣根があまりなく、独特な環境が形成されているところも、シンガポールの魅力です。