「旧耐震」「事故物件」「狭小物件」「1階部屋」など、売りにくいマンションの相場は? 不動産のプロが不人気物件の売却法を解説

2017年12月4日公開(2021年6月29日更新)
ダイヤモンド不動産研究所

「旧耐震マンション」「1階部屋」「事故物件」「管理が悪いマンション」「狭小マンション」「名義人が認知症」など、売りにくいと言われるマンションは本当に売りにくいのだろうか。また、相場はいくらぐらいなのだろうか。不動産取引のプロに、不人気マンション売却のための傾向と対策を聞いてみた。

 「どんなマンションでも買い手はいますよ。当社で必ず良い買い手を見つけます!」と不動産仲介会社は言うけれど、調子が良すぎてなんだか不安を覚えることも多い。マンション売却の味方となる不動産会社はこうした物件についてどう感じており、売却するためにはどう対処すればいいのかを、6タイプに分けて紹介しよう。

(1)旧耐震マンション
(2)1階部屋
(3)事故物件
(4)管理が悪いマンション
(5)40㎡以下の狭小マンション
(6)名義人が認知症

 最初に理解しておきたいのは、売りにくいマンションはあっても、売れないマンションはないということだ。

 「売却したいマンションに人気があろうとなかろうと、買い手は一人です。一人を見つければ大丈夫」。FFP不動産コンサルタントの藤本元純代表は語る。

 マンションを売却する際に不利になる条件はあれども、一部を除いて対処法はあるということだ。条件に応じてそれぞれ対策を見つければマンション売却は可能だという。ではタイプ別に売却方法を解説していこう。
【関連記事はこちら!】>> 家を高値で売りたいのなら、絶対に知っておきたい「売主のためのレインズ活用法」売主が損しても分かりにくい仕組みなので注意を!

1982年までに完成した物件は「旧耐震」
立地がよければ、値下げして売却可能

 まず、売却に不利な条件としてあげられる(1)旧耐震についてはどうだろうか。

 不動産仲介会社によると、売却予定のマンションが「新耐震」か「旧耐震」かの違いは、やはりかなり大きい。

 「旧耐震」とは、1981年5月31日までの建築確認において適用されていた耐震基準を指す。建築確認から、実際に完成、売り出しまでの期間を考えると、一般には1982年までに建てられたマンションが「旧耐震」に該当することが多い。

 当然だが、古い耐震基準になるので、銀行からの建物に対する評価が低くなる。つまり、買い手が現れたとしても、その買い手に対して銀行が融資をしない可能性がある。そうなると、そのマンションは高値で売却することは難しい。旧耐震マンションの売却で、値下げを余儀なくされるケースが多くなる理由だ。

 また、賃貸に転用する目的でマンションを探している外国人投資家は、旧耐震マンションは買わない傾向が強く、その分だけ売却の機会も少なくなる。先の理由と合わせて「旧耐震は売れない」と世間で言われる背景だ。

 この旧耐震だが、中古不動産を扱う不動産会社によると「確かに売りにくいが、立地が良ければ問題ない」というのが不動産業界で共通の評価だ。「立地や広さに加えて、予算内で買えるかどうかを優先してマンション探しをする人も多い。値ごろ感を前面に出せば売れると思います」(都内の不動産会社)。つまり、ある程度値下げすれば、売却は可能ということだ。

 また、よくある誤解だが、1982年以前に建築されたマンションの中でも、充分な耐震強度を備えているマンションもある。1970年代に建てられた「赤坂パークハウス」や「イースタンホームズ南平台」など、ビンテージマンションと呼ばれるものの多くが、これにあたるとされ、中には新築時よりも高値で取引されるものも少なくない。

 旧耐震に分類されるマンションの中でも耐震強度はまちまちで、構造や形によって地震時の倒壊リスクは変わる。旧耐震基準のマンションを所有しているからと言って、それだけで悲観する必要はないのである。
【関連記事はこちら!】>> 「維持費が高い別荘」や「境界でもめてる土地」など、もらったら困る不動産を相続したときの対処法とは?

意外に人気の「1階部屋」
高齢夫婦や、子育て世代にニーズあり

 では、防犯性などの点から不人気とされる(2)1階の部屋はどうだろうか。驚いたことに複数の不動産会社やコンサルタントが口をそろえて「まったく問題ない」と答える。

 不動産コンサルタント事務所・TRコンサルティングの鈴木唯人代表は語る。

 「1階の部屋を探している人は、いつも一定数います。最近だと、郊外の一軒家を売って便利な場所に引っ越してくる高齢夫婦が多い。帰ってきてスッと部屋に入れる1階は重宝するようです」。確かに買い物袋を抱えてエレベーターに乗り込むのは、お年寄りには手間だ。都心回帰を望む高齢者に、1階を好む人が多いのは、うなずける話だ。

 他にこんな証言もあった。「男のお子さんが2人いらっしゃるご家庭で1階の部屋をお探しの方がいました。どうやら子どもさんが元気すぎるようで(笑)。前のマンションでは階下のご家庭と騒音トラブルになってしまったため、引っ越し先は絶対に1階と決めていたそうです」(都内の不動産会社)

 その他にも「以前、エレベーター内で不審な男に声をかけられた経験がトラウマになったという女性がいましたね。なるべくならエレベーターに乗りたくないということで、1階か階段でのぼれる低層階のマンションを探されていました」(都内の不動産会社)

 なるほど、理由はさまざまだが1階のマンションに対する需要が一定数あるのは間違いないようだ。

 それよりも多かったのは、1階部屋に付随する専用庭に対する需要だろう。マンション住まいでありながら、庭付きの暮らしに憧れる人たちは、実はかなり多いのだという。1階だからといって売れないマンションだと決めつける必要は全く無さそうだ。

事故物件は外国人投資家に売却
「リフォームして賃貸」が定番

 では、何らかの原因で居室内で人が死亡したことがある、心理的瑕疵を持つマンション、いわゆる(3)事故物件はどうだろうか。死亡理由にもよるが、やはり通常の手法で買い手を探すのは難しくなる。

 「事故物件を好んで買う人はまずいません。また、売却するときは、事故があったマンションであることを、基本的には告知しなければいけないことになっています。相場から、かなりの減額をしないと売れないですね」(都内の不動産会社)

 死亡時の状況や、立地などその他の条件にも影響されるが、相場から2~3割ほどの減額は避けられないという声が多い。

 告知義務が発生するのは、殺人や自殺といった悲惨なものだけではない。たとえば、いま増えている「孤独死」のケースでも告知義務が発生するとされている。一般には死後、発見されないまま3日経つと事故物件として告知義務が発生するといわれているが、実はこの説に法的な根拠は乏しい。どこから告知するかは、意見がかなりわかれるところだ。

 しかし、売却から数年経ってから告知しなかったことを訴えられた売主もいる。後でトラブルにならないためにも、可能な限りの情報を告知するのが得策といえるだろう。

 では、どうやって売るのか。冒頭に登場したFFP不動産コンサルティングの藤本元純代表は、こんな売却方法を提案する。

 「ある程度、割り切ってマンション買い取り業者に買ってもらうのがいいと思います。業者はリフォームなどをして、外国人投資家に販売するケースが多い。そこから賃貸物件として運用するようです」

 事故物件への心理的嫌悪が少ない外国人投資家が買い、短期間なら気にしないという賃貸入居者が利用する。このように利用価値がある以上は、買い手を探すことができる。相場からの減額は避けられないが、希望する販売価格になるように近づけるには、粘り強く交渉をするべきだろう。
【関連記事はこちら!】>> 事故物件(孤独死、自殺、他殺物件)不動産の相場と高く売却するための方法は?

不動産仲介会社が嫌がる1位は
ズバリ、「管理状態が悪いマンション」

 では、専門家でも売却に手こずるマンションはあるのだろうか。多くの不動産会社が口をそろえるのは(4)管理状態が悪いマンションだ。

 「玄関ポストやゴミ捨て場といった、共用部の中でも特に目がつく場所が荒れているマンションでは、売主様や仲介会社で対処できることはありません。相場よりも減額したうえで、時間をかけて売れるのを待つしかないでしょうね」(都内の不動産会社)

 管理がずさんなマンションであれば、大規模修繕などが定期的に行われておらず、雨漏りや鉄部のさび、外壁タイルの落下などが発生している可能性がある。定期的な清掃、収税をしておかないと建物の痛みは加速するのが鉄則だ。また、そうした物件だと、管理費を滞納している住人が多いかもしれない。

 中古マンションだからこそ、「マンションは管理を買え」の原則が徹底される。残念だが、対処法は売り出し価格を減額する以外には、なさそうだ。

融資がおりにくい「狭小マンション」
「名義人が認知症」の物件も売却は困難

 その他に売却が難しいとされる物件はあるのだろうか。

 専門家の声で多かったのは、(5)40㎡以下の狭小マンションだ。40㎡以下の物件には住宅ローンを適用しない銀行・金融機関があるため、買い手がつきにくく、売りづらくなるからだ。民間の金融機関は、保証会社の審査が厳しいため、ローンが付きにくいのだ。

 そこで頼りになるのが、フラット35だ。フラット35では、面積の基準が緩く、30㎡以上で住宅ローンを適用する。不動産仲介会社がこうした銀行の事情を知らなければ、フラット35を紹介するのがいいだろう。ただし、フラット35で低い金利が適用されるには、買い手は少なくとも1割以上の頭金を用意しなければならないため、それほど簡単に売れるわけでもないので注意が必要だ。

 次に多かったのは、(6)名義人が高齢者で認知症傾向があるケースだ。

 「マンション名義人の息子さんから売却相談をいただいたのですが、名義人ご本人の売却意思がはっきりしないケースがありました。これでは、もう成年後見人を付ける以外にアドバイスできることはありません」(FFP不動産コンサルティング・藤本代表)

 確かに、本人の意思がわからなければ後にトラブルになる可能性もあるため、不動産仲介会社は動けない。相続対策等で不動産を処分する必要があるなら、健康なうちに家族で話し合うしかない。
【関連記事はこちら!】
>> 実家の相続で活用すべき「小規模宅地等の特例」を解説! 気をつけたい"3つの落とし穴"と、売却時の注意点は?

どんな物件も対策法は必ずある
高値で売るには行動あるのみ

 ここまで売りにくいマンションの特徴と理由、対策法を考えてきた。しかし、マンション売却を前に案じてばかりいてもしょうがない。冒頭の藤本代表の言葉の通り、買い手はたった一人でもかまわない。できるだけ高値で売るには、積極的な行動あるのみだ。

 以下は、部件タイプ別の特徴と対策をまとめたものだ。参考にしよう。

  • (1)旧耐震マンションは立地が良ければ売却可能
  • (2)1階部屋は、都心回帰の高齢者を狙え。また子連れファミリーにもニーズあり
  • (3)事故物件は買い取り業者と外国人投資家をターゲットに売却しよう
  • (4)管理が悪い、スラム化マンションは対処法なし
  • (5)30~40㎡の狭小マンションは、フラット35のローンが利用可能
  • (6)名義人が認知症になったら後見人をつけないと売却不能

 なお、実際に売却する際は、複数の不動産会社に査定を依頼して、じっくりと相場を把握し、焦らずに販売していくのがいいだろう。
【関連記事はこちら>>不動産一括査定サイト&査定業者31社で比較! 売却におすすめのサービスや特徴などを徹底解説

  • RSS最新記事
おすすめ不動産一括査定サイトはこちら

※不動産一括査定サイトとは、売却したい不動産の情報と個人情報を入力すれば、無料で複数社に査定依頼ができます。査定額を比較できるので売却相場が分かり、きちんと売却してくれる不動産会社を見つけやすくなる便利なサービスです。

◆SUUMO(スーモ)売却査定
SUUMO(スーモ)
 無料査定はこちら >>
 
特徴 圧倒的な知名度を誇るSUUMOによる一括査定サービス
・主要大手不動産会社から地元に強い不動産会社まで2000社以上が登録
対応物件 マンション、戸建て、土地
紹介会社数 10社(主要一括査定サイトで最多)※査定可能会社数は物件所在地によって異なります
運営会社 株式会社リクルート住まいカンパニー(東証プライム子会社)
>>SUUMO(スーモ)の詳細記事はこちら
◆すまいValue
不動産一括査定サイトのすまいValue
簡単60秒入力、大手6社に査定依頼できる!
特徴 大手不動産会社6社が運営する一括査定サイト
対応物件 マンション、戸建て、土地、一棟マンション、一棟アパート、一棟ビル
対応エリア 北海道、宮城、東京、神奈川、埼玉、千葉、茨城、愛知、岐阜、三重、大阪、兵庫、京都、滋賀、奈良、和歌山、岡山、広島、福岡、佐賀
運営会社 大手不動産会社6社(東急不動産、住友不動産販売、三井のリハウス、三菱地所の住まいリレー、野村の仲介+、小田急不動産)
>>すまいvalueの詳細記事はこちら
◆マンションナビ
マンションナビ
 無料査定はこちら >>
 
特徴

マンションの売却に特化
・マンションを賃貸に出したい人の賃料査定にも対応
900社以上の不動産会社と提携

対応物件 マンション
紹介会社数 最大9社(売却・買取6社、賃貸3社)
運営会社 マンションリサーチ
>>マンションナビの詳細記事はこちら
◆HOME4U(ホームフォーユー)
HOME4U
 無料査定はこちら >>
 
特徴 悪質な不動産会社はパトロールにより排除している
・20年以上の運営歴があり信頼性が高い
・1800社の登録会社から最大6社の査定が無料で受け取れる
対応物件 マンション、戸建て、土地、ビル、アパート、店舗・事務所
紹介会社数 最大6社
運営会社 NTTデータ・スマートソーシング(東証プライム子会社)
>>HOME4Uの詳細記事はこちら
◆いえカツLIFE
いえカツLIFE
 無料査定はこちら >>
 
特徴

・対応可能な不動産の種類がトップクラス
共有持ち分でも相談可能
訳あり物件(再建築不可物件、借地権、底地権など)の査定も対応可能

対応物件 分譲マンション、一戸建て、土地、一棟アパート・マンション・ビル、投資マンション、区分所有ビル(1室)、店舗、工場、倉庫、農地、再建築不可物件、借地権、底地権
紹介会社数 最大6社(売買2社、買取2社、リースバック2社)
運営会社 サムライ・アドウェイズ(上場子会社)
>>いえカツLIFEの詳細記事はこちら
◆おうちクラベル
おうちクラベル
 無料査定はこちら >>
 
特徴

・AI査定で、査定依頼後すぐに結果が分かる
・SREホールディングスが運営する一括査定サイト

対応物件 マンション、戸建て、土地、一棟マンション、一棟アパート
紹介会社数 最大15社
運営会社 SREホールディングス株式会社(東証プライム上場企業)
>>おうちクラベルの詳細記事はこちら
◆イエウール
イエウール
 無料査定はこちら >>
 
特徴

掲載企業一覧を掲載、各社のアピールポイントも閲覧可能
2000社以上の不動産会社と提携
・対応可能な不動産の種類が多い

対応物件 マンション、戸建て、土地、投資用物件、ビル、店舗、工場、倉庫、農地
紹介会社数 最大6社
運営会社 Speee
>>イエウールの詳細記事はこちら
◆LIFULL HOME'S(ライフルホームズ)
LIFULL HOME'S
 無料査定はこちら >>
 
特徴

日本最大級の不動産ポータルサイト「LIFULL HOME'S」が運営
2400社以上の不動産会社と提携
匿名査定も可能で安心

対応物件 マンション、戸建て、土地、倉庫・工場、投資用物件
紹介会社数 最大6社
運営会社 LIFULL(東証プライム)
>>LIFULL HOME'Sの詳細記事はこちら

 

 

一括査定サイトと合わせて
利用したい査定サイト

 

◆ソニーグループの「SRE不動産」売却査定
60秒で入力可能! 囲い込みのない不動産会社
特徴 ・両手仲介・囲い込みを行わない
・上場企業のソニーグループが運営
・売却専門の担当者がマンツーマンで高値売却を追求
対応物件 マンション、戸建て、土地(建物付きを含む)、収益用不動産
対応エリア 東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、大阪府、兵庫県、京都府、奈良県
運営会社 SREホールディングス株式会社(ソニーグループ)
>>SRE不動産の詳細記事はこちら

不動産一括査定サイトを比較
評価・評判を実際に一括査定して検証!

サイトロゴ suumo売却査定 home4u マンションナビ おうちクラベル イエウール ライフルホームズ リビンマッチ いえカツLIFE HowMa RE-Guide マイスミEX イエイ すまいValue
サイト名 suumo売却査定 HOME4U マンションナビ おうちクラベル イエウール ライフルホームズ リビンマッチ いえカツLIFE HowMa RE-Guide マイスミEX イエイ すまいValue
提携社数 2000以上 1800以上 2500 不明 1900以上 3691以上 1700以上 500以上 30以上 29 800以上 1000以上 6
最大紹介社数 10
※物件所在地によって異なる
9 6 6 6 6 6 6 6 6 10 6 6
主な対応物件 マンション、戸建て、土地 マンション、戸建て、土地 マンション マンション、戸建て、土地など マンション、戸建て、土地など マンション、戸建て、土地など マンション、戸建て、土地など マンション、戸建て、土地など マンション、戸建て マンション、戸建て、土地など マンション、戸建て、土地など マンション、戸建て、土地など マンション、戸建て、土地など
対応エリア 全国 全国 全国 全国 全国 全国 全国 東京、千葉、神奈川、埼玉 東京23区、神奈川県:横浜市(西区・中区・港北区・神奈川区)、川崎市(幸区・中原区) 全国 全国 全国 全国
記事を読む 評判や査定内容の検証はこちら 評判や査定内容の検証はこちら 評判や査定内容の検証はこちら 評判や査定内容の検証はこちら 評判や査定内容の検証はこちら 評判や査定内容の検証はこちら 評判や査定内容の検証はこちら 評判や査定内容の検証はこちら 評判や査定内容の検証はこちら 評判や査定内容の検証はこちら 評判や査定内容の検証はこちら 評判や査定内容の検証はこちら 評判や査定内容の検証はこちら

【不動産仲介会社の評判を徹底調査!】
・「SRE不動産(ソニーグループ)」の評判
・「三井のリハウス」の評判
・「住友不動産販売」の評判
・「東急リバブル」の評判
・「野村の仲介+」の評判
・「明和地所」の評判
・「京王不動産」の評判
・「オークラヤ住宅」の評判
・「小田急不動産」の評判

 
TOP