つみたてNISA(積立NISA)おすすめ比較&徹底解説[2020年]
2018年1月29日 深野 康彦

「つみたてNISA」を始めるときの注意点を解説!
従来の「NISA」から「つみたてNISA」に切り替える
ときや実際の運用時に押さえておきたいポイントは?

つみたてNISAのおすすめ証券会社はココ!

 積立投資専用の新しいNISAである「つみたてNISA」(積立型の少額投資非課税制度)がスタートして、約1ヵ月が経ちました。しかし、まだまだ制度の中身をよく理解していない人も少なくないようです。

 そこで今回は、意外に知らない、あるいは誤解しやすい「つみたてNISA」活用の注意点についてお話しします。

年間の非課税投資枠や非課税期間、投資手法だけじゃない!
投資対象商品も「つみたてNISA」と従来の「NISA」で違う

 2018年1月からスタートした「つみたてNISA」と、2014年に始まってすでに5年目になる従来の「NISA」。どこがどのように違うのか、両者を比較しながら、「つみたてNISA」を活用するときに注意したいポイントを確認しておきましょう。

■「つみたてNISA」と従来の「NISA」の違いとは?
  つみたてNISA 従来のNISA
年間非課税投資枠 40万円 120万円
非課税期間 20年間
(ロールオーバー不可)
5年間
(ロールオーバーで最長10年間)
投資対象 一定の条件を満たして
金融庁が認めた
株式投資信託と
ETF(上場投資信託)のみ
国内外の上場株式、
株式投資信託、
ETF(上場投資信託)
Jリート
(上場不動産投資信託)
投資手法 定期的な積立のみ可能 短期でも長期でも自由

●年間非課税投資枠…「NISA」120万円/「つみたてNISA」40万円

「つみたてNISA」の非課税投資枠は年間40万円で、従来の「NISA」の年間120万円の3分の1と、かなり小さくなっています。

●非課税期間…「NISA」:5年間(ロールオーバーで最長10年間)/「つみたてNISA」:20年間(ロールオーバー不可)

 逆に非課税期間は、「つみたてNISA」のほうが従来の「NISA」よりも長いのが特徴です。年間の非課税投資枠に非課税期間を掛けた最大非課税金額は、従来の「NISA」が600万円(年間120万円×5年)なのに対し「つみたてNISA」は800万円(年間40万円×20年)と、「つみたてNISA」のほうが200万円も多くなります。

 ただし、「つみたてNISA」では従来の「NISA」と違って、ロールオーバー(非課税期間終了後もNISA口座を使って非課税で運用を続けること)ができない点に注意しましょう。

●投資対象…「NISA」:国内外の上場株式、株式投資信託、ETF、Jリート/「つみたてNISA」:一定の条件を満たした株式投資信託、ETFのみ

 従来の「NISA」に比べると、「つみたてNISA」は投資対象となる商品がかなり絞られています。国内外の債券やJリートのみに投資する商品は投資対象外。また、投資信託も「すべて」が対象ではなく、投資の対象資産に株式を含むなど金融庁が指示する「一定の条件」を満たした投資信託だけが対象です(2018年1月29日時点で140本)。

 ETF(上場株式投資信託)については、2018年1月29日時点では3本のみ、扱っている金融機関も大和証券の一社のみです。

●投資手法…「NISA」:自由/「つみたてNISA」:定期的な積み立てのみ可

 従来の「NISA」では、投資商品のスポットでの購入も積立投資も可能です。一方「つみたてNISA」のほうは、名前のとおり積立投資でしか利用できません。ちなみに、積み立ての頻度に関しては金融庁では特に指示していませんでしたが、実際に制度が始まってみると、「毎月1回」の積み立てを基本とする金融機関が多くなっています。

 SBI証券楽天証券など一部の証券会社では、「毎日積立」なども可能です。大和証券のように「1ヵ月に1回」だけでなく、「2ヵ月に1回」や「3ヵ月に1回」「4ヵ月に1回」「6ヵ月に1回」といった少ない頻度での積み立てが可能な金融機関もあります。「つみたてNISA」口座を開設する際は、こうした積み立ての頻度にも注目して金融機関を選ぶことをおすすめします。

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 ここまで見てきたように、「つみたてNISA」は従来の「NISA」に比べると、年間の非課税枠が小さく、投資対象や投資手法も限られています。そのため、すでに投資経験があり、好きな銘柄を好きなタイミングで買いたい人にとっては、やや物足りない可能性もあります。

 しかし、逆に考えると、少額の資金からでも始めやすい、一定の条件を満たした限られた投資信託のみが投資対象なので選びやすい、積立投資のみなので買いのタイミングを考える必要がない、というメリットがあります。つまり、「つみたてNISA」は投資初心者にとっては、投資を始めやすくて非常に使いやすい制度と言えるのです。

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「つみたてNISA」は、従来の「NISA」と併用ができない!
ただし「NISA」の資産は、非課税期間中はそのまま維持される

「つみたてNISA」の疑問点を解消しましょう!従来の「NISA」から「つみたてNISA」に移行するときに出てくる疑問は、事前に解消しておきましょう!

 さて、このように長期投資ができる「つみたてNISA」は、老後など将来の資産形成に向いている制度です。すでに従来の「NISA」をやっている人の中にも「つみたてNISA」をはじめたいと思っている人もいることでしょう。

 そこで続いては、従来の「NISA」から「つみたてNISA」に移行する際の注意点を見ていきましょう。

●従来の「NISA」と「つみたてNISA」は併用できない

 まず押さえておきたいのは、従来の「NISA」と「つみたてNISA」の併用は「できない」ということ。そのため、「つみたてNISA」口座を開設するなら、金融機関に所定の届けを出して、従来の「NISA」口座は廃止しなくてはいけません。

 ただし、従来「NISA」⇒「つみたてNISA」に移行しても、「NISA」の口座の資産は、「NISA」の非課税期間が終わるまで継続保有が可能です。この点は、誤解している人が多いかもしれませんね。

 たとえば、2017年に従来の「NISA」口座で買い付けた商品は、5年の非課税期間である2021年の年末まで保有することができます。また、その間に売却して利益が出た場合は、全額非課税になります。

●「つみたてNISA」に移行すると、「NISA」のロールオーバーができなくなる

 もう1つ、注意しておきたいのが「つみたてNISA」に移行すると、従来の「NISA」の非課税期間が終わった後にロールオーバー(非課税期間の乗り換え)ができなくなる点です。そうなると、従来の「NISA」口座にある資産は課税口座に移すか、その時点で売却するしかありません。「つみたてNISA」への移行を検討している人のうち、従来の「NISA」口座に残高がある人は、「ロールオーバーができなくなる」ことをよく認識しておきましょう。

 特に、2014年に従来の「NISA」で買い付けをして保有を続けている場合は、2018年が非課税期間の最終年です。もし、2018年中に「つみたてNISA」に切り替えると、2019年に新しい非課税期間に乗り換えること(ロールオーバー)はできなくなります。2018年中に「つみたてNISA」に移行するのがいいのか、それとも2019年にロールオーバーしてから「つみたてNISA」に移行したほうがいいのか、よく検討する必要があります。

●一度でも買い付けをすると、「NISA」と「つみたてNISA」の切り替えが不可に

 ところで、一度「つみたてNISA」に移行したら、もう従来の「NISA」を利用できないのか、気になる方もいらっしゃるのではないのでしょうか。実は、従来の「NISA」⇒「つみたてNISA」に切り替えるのと反対に、「つみたてNISA」⇒従来の「NISA」という切り替えが、1年に一度だけ可能です。

 ただし、変更したいと思う年に一度でも買い付けをしてしまうと、その年は切り替え不可になってしまいます。ということは、すでに「つみたてNISA」の口座を開設した人でも、今年まだ一度も積立が実行されていなければ、これから従来の「NISA」に移行することも可能です(2018年の移行手続きは9月末まで)。

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株式以外の投信は買えない!? 口座内でリバランスができない!?
「つみたてNISA」での資産形成は、万能ではないことに注意!

 すでに説明したとおり、「つみたてNISA」は投資初心者などが少額から長期間の積立投資によって資産を作っていくのに向いている制度です。しかし、必ずしも資産形成のための完璧な制度とは言えず、運用するにあたって注意しておきたいポイントもいくつかあります。

●「つみたてNISA」で扱う投資信託には、必ず株式が含まれる

 投資の基本は分散投資ですが、「つみたてNISA」で投資対象となっている投資信託は、株式100%または株を含む複数の資産を組み合わせたバランス型のみです。そのため、「つみたてNISA」だけで分散投資をしようと考えると、必然的にバランス型投信が選択肢になります。もしくは、「つみたてNISA」では株式100%に投資する投資信託を選び、通常の課税口座や「iDeCo(個人型確定拠出年金)」などで、債券など別の資産に投資する商品を選ぶことで分散投資する方法もあります。

 まずは積立投資を始めることが大切なので、最初から絶対に分散投資をしなくてはいけないわけではありません。ただ、「つみたてNISA」では投資対象の特性から株価の影響を受けやすいことはおさえておきましょう。

●金融庁の「一定の条件」を満たしている=好成績が期待できる、ではない

 「つみたてNISA」では一定の条件を満たした投資信託・ETFのみを投資対象としていますが、「一定の条件」には「過去の成績がいい」、あるいは「今後の運用成績が期待できる」といった項目は一切含まれていません。「金融庁のお墨付きの投資信託だから、必ずリターンが期待できる」わけでないので、その点は誤解しないようにしてください。

●「つみたてNISA」では、預け替えやリバランスができない!

「つみたてNISA」では預け替えやリバランスができないのですが、それにどういう問題があるのか、「iDeCo(個人型確定拠出年金)」との比較で具体的に説明しましょう。

 「iDeCo」の場合は、積み立てた商品を一度売って、その代金で別の商品に買い替える「預け替え(スイッチング)」が可能です。また、積み立てた商品を一部売却するなどして、保有資産の配分を調整する「リバランス」もできます。しかし、「つみたてNISA」では、非課税投資枠の再利用はできず、そもそも積立投資しかできない仕組みなので、非課税枠の中での預け替えやリバランスは一切できません。

 こうした点は、投資経験の豊富な方からすると制約に感じるかもしれません。そのため、「つみたてNISA」では機動的に資産の見直しはできない点をきちんと理解してから、投資を始めることをおすすめします。

●「つみたてNISA」では、急落時の「リスク回避」ができない!

 「iDeCo」には、定期預金や保険型商品という元本確保型の商品もあります。そのため、たとえば相場の急落時には一時的に元本確保型の商品に乗り換えて様子を見るといったこともできます。しかし、「つみたてNISA」の場合は、積み立てを一時的に休むことはできても、保有中の商品はそのまま運用を続けることになります。こうした「リスク回避」という面で考えると、「つみたてNISA」 は「iDeCo」に比べて使い勝手がよいとは言えません。

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つみたてNISAに向いている人、向いていない人は?「iDeCo」より「つみたてNISA」を活用すべき人と、「つみたてNISA」を絶対に使ってはいけない人とは?

「つみたてNISA」は途中でやめずに続けることが重要!
でも、20年間ずっと続けることだけが「正解」ではない!

 ここまで「つみたてNISA」を始める際におさえておきたい注意点をお話ししてきました。では実際に「つみたてNISA」を始めてからはどんなことに気をつければよいのでしょうか。最後は、「つみたてNISA」を長く続けるコツをご紹介するとともに、「つみたてNISA」の売却に関する誤解を解いておきたいと思います。

●非課税投資枠の年間40万円、月平均約3万3000円にこだわらない

 長く続けるためには、月々の積立金額を無理のない範囲で設定することが重要です。「つみたてNISA」の非課税枠は従来の「NISA」に比べると少ないこともあり、「何がなんでも非課税枠を使い切ろう」と考える人もいるようですが、枠の使い切りにこだわる必要はまったくありません。

 たとえば、最初は1万円から始めて、収入に応じて増やしたり、逆に教育費などほかに使うお金が増える時期には積立金額を減らしたり、金額の調整によって途中でやめずに続けられる体制を作っていってください。

●引き落とし日が選べる場合は、給料日のすぐ後に設定する

 せっかく「つみたてNISA」を始めたのに、引き落とし日に銀行口座などに資金がなくて、設定日の積み立てができなかったという事態は、できる限り避けたいものです。そのためには、「つみたてNISA」の購入資金が口座から引き落とされる日を、給料日のすぐ後などに設定しておくといいでしょう。

●一時的な相場状況に影響されて、資産を売却してはもったいない!

 積立投資のよさは、価格が高いときには少なく、価格が安いときには多く買い付けることで、平均取得価格を下げられることです(「ドル・コスト平均法」と呼ばれる投資法)。そのため、一時的な相場環境の悪化は安い価格で多く買い付けられるチャンスとも言えます。「相場が悪くなったから」という理由で簡単に売却するのはもったいないですし、積立投資のセオリーに反しています。

●まとまった資金が必要なら、20年を待たずに売却してもOK!

 「つみたてNISA」の非課税投資期間は最長20年間ですが、20年が経つまでは何がなんでも資産を保有しなければならないというわけではありません。20年の間に資金が必要なライフイベントがあれば、いつでも売却して構わないのです。

 また、10年、15年経ってかなり利益が出ているようであれば、その時点で一旦利益確定しても問題ありません。なぜなら、20年経ったときに最も利益が出ているとは限らないからです。

 なかには、一度始めたら最後まで(20年間)続けないといけない、と思い込んでいる人もいるようですが、「つみたてNISA」は「iDeCo」とは異なり、いつでも売却できるのがメリット。柔軟に考えればよいのです。ただし、繰り返しになりますが、一時的な相場下落で狼狽売りというのは避けましょう。

 次回は、いよいよ「つみたてNISA」の対象商品に選ばれている140本の投資信託(2018年1月29日時点)について、その内容や特徴を詳しく見ていきます。

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(構成:肥後紀子)

深野康彦(ふかの・やすひこ)[ファイナンシャルプランナー]
ファイナンシャルリサーチ代表。AFP、1級ファイナンシャルプランニング技能士。クレジット会社勤務を3年間経て1989年4月に独立系FP会社に入社。1996年1月に独立し、現職。あらゆるマネー商品に精通し、わかりやすい解説に定評がある。主な著書に『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない』『ジュニアNISA入門』(ダイヤモンド社)など多数。