闇株新聞[2018年]
2018年6月1日 闇株新聞編集部

混迷深めるイタリア政局 
波乱がありそうなユーロ

闇株新聞が警戒する「イタリア・ショック襲来」

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イタリアの政局に世界の金融市場が動揺しています。バラマキ財政と移民排斥・反EUを掲げる政党が議席を伸ばし、世界同時株安を引き起こしかねない状況です。世界の金融市場に鼻が効く刺激的な金融メルマガ『闇株新聞プレミアム』が、騒動の背景をわかりやすく解説します。

混迷深めるイタリア政局。波乱がありそうなユーロ(闇株新聞が警戒する「イタリア・ショック襲来」)

ギリシャの二の舞か? 借金まみれの
イタリアがバラマキ政策で泥沼に嵌る!?

 3月4日の総選挙以降、イタリアでは積極財政策など大衆迎合(ポピュリスト)主義を掲げる「五つ星運動」と、EU懐疑派で移民排斥(さらにはEU離脱まで)を掲げる極右「同盟」が連立政権を目指し、法学者のジュセッペ・コンテ氏を首相候補に指名して組閣に取り掛かっていました。

 イタリアでは上下院議員と各州の代表者の投票によって選ばれる大統領が、首相の指名や議会の解散、軍隊の指揮など権限を持ちます。マッタレッラ現大統領は「五つ星運動」が推すユーロ懐疑派のパオロ・サボナ氏の財務相指名を拒否、5月26日に新首相候補を当初のコンテ氏からコッタレッリ氏(IMF財政局長などを歴任)に変えて指名しました。

 しかし親EU派で財政再建派でもあるコッタレッリ氏では「五つ星運動」と「同盟」が多数を占める議会の支持を得られるはずがなく、一気に再選挙に突入しました。積極財政(バラマキ)の「五つ星運動」と反EU・反移民の「同盟」がさらに躍進しそうで、放漫財政が進む警戒感から市場では国債利回りが上昇しています。

 イタリアの公的債務は2兆3000億ユーロ(約300兆円)で、GDPの130%にも上ります。債務の多さはユーロ圏で断トツの1位、世界でも4位です。さらに、2兆3000億ユーロのうち7000億ユーロ(約90兆円)までを、ドイツを始めユーロ圏諸国の非居住者が保有しています。

 あまり知られていませんがユーロ構成国の中央銀行間には「ターゲット2」という決済システムがあって、中央銀行間の資金の過不足を調整しています。このシステムの最大の恩恵を受けているのがイタリアで、イタリア中央銀行はドイツ連邦銀行(中央銀行)などから4430億ユーロ(58兆円)も借り入れているのです。

EUの創設メンバー国で大きくなる
反ユーロ・反移民・EU離脱の世論

 そもそもユーロを統一通貨とするEUとは、1951年にドイツ、フランス、オランダ、ベルギー、ルクセンブルク、イタリアといった「旧フランク王国」の6か国で発足したECSC(欧州石炭鉄鋼共同体)が原型で、以降この6か国が中心となってEU拡大やユーロ導入が行われてきました。

 そんなEUとユーロの「オリジナルメンバー」であるイタリアで、反ユーロ・放漫財政・反移民・果てはEU離脱まで掲げる政権が誕生する可能性が大きくなっているのです。

 5月29日の世界の金融市場では、イタリア株式(MIB指数)が581ポイント(2.85%)安の21350ポイントと、直近の高値となっていた5月7日の24544ポイントから13.0%も下落しました。DAXなど欧州株式も軒並み急落、NYダウも391ドル(1.58%)安の24361ドルと意外に大きく反応しています。

 為替市場ではユーロが売られ、対ドルでは4月中旬の1ドル=1.24ドル台から1.1510ドルまで下落しました。対円でも4月中旬の1ユーロ=133円台から、やはり一時1ユーロ=124.62円まで下落しています。

 少し前まで、ユーロの下落は米国長期金利の上昇によるドル高・ユーロ安と考えられていましたが、ここで米国長期金利低下・イタリアの財政問題と「材料」が入れ替わってしまいました。

 これからしばらく、イタリアの政治情勢に金融市場が振り回されることになりそうです。

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