株式レポート
2012年3月13日 マネックス証券

第11回 「罫線分析の難しさ」 - 広木隆の「投資の潮流」

酒田五法などの罫線(チャート)分析は投資家に人気がある。チャートはビジュアルであり、分かりやすい。流行の「見える化」だ。ところが罫線分析には問題点があって、それは効くときと効かないときがあるということである。特に、1月中旬を起点とする今回の上昇相場においては、ことごとく裏切られる結果となってきた。

まず「三空」。窓が三つ連続して空いたら、「三空に買いなし」といわれるように天井が近いサインだ。しかし、今回は三つ目の窓を空けてから相場は一段高となった。次が「毛抜き天井」。毛抜き天井とは、前日の高値と当日の高値がほぼ同じ二本の足が高値圏で現れることを言う。前日の高値を抜けなかったということはその高値よりも上では強い売り勢力があるということを示す。天井圏でこの形の足が現れると、下降転換となるケースが多いとされている。日経平均は2月29日に9866円まで上昇したが伸び悩んで陰線で引けた。翌3月1日も9865円まで上げながら、前日の高値まで後1円及ばず、続落となった。まさに毛抜き天井だ。

そこから陰線がさらに3本続いて計5本の陰線が現れた。これを「五陰連」と言い、やはり下げに転換するシグナルとなる。果たして日経平均は翌7日大幅安で寄り付いた。但し、それは米国でダウ平均が200ドルを超す下げとなったのを受けての結果であり、「五陰連」が暗示した下落基調への転換となったわけではない。その証拠に、7日は寄り付きが安値となって下げ幅を縮小。翌8日は大幅高となってそれまでの下げをほぼ取り戻す。そして9日には日経平均は1万円の大台を一時回復した。「毛抜き天井」を含む「五陰連」が現れて3日目のことだ。もしも「五陰連」直後の7日の寄り付きで売っていたら約500円幅も、上に担がれていただろう。

昨日12日は上値を試したり下げ渋ったりすることもなく、寄り付きをほぼ天井に一本調子で下落して安値引けで終える「陰の丸坊主」となった。これが相場の高値圏で出現した場合、調整局面入りの典型的なシグナルとされる。日経平均は今日(3月13日)まで取引時間中には1万円をつけるものの、終値では維持できないでいる。「陰の丸坊主」を挟んで、前に上ヒゲの長い小さな陽線、後にやはり上ヒゲの長い小さな陰線。この形を何というのか知らない(ご存知の方がおられたらご教示下さい)が、きっと良くない形だろう。いかにも天井を打ったような格好をしているではないか!

さて、ここが天井となるかどうか、それは時間が経ってみないと分からない。このコラムが次回更新されるのは3月27日。それまでには判明しているだろう。但し、今から2週間後に「やはり、あそこが天井だった」と確認しても遅いのである。では、明日売るか?罫線分析は効くときと効かないときがある。今回の上昇局面では、これだけ「騙し」があった。また騙しとなるか?今度こそ天井か?それを判断する分析ツールがもう1つ必要となる。ということは、罫線分析単体では実践的な投資判断に役立たないということになりはしないだろうか。

チーフ・ストラテジスト 広木隆