「分筆」「合筆」を巡る、よくあるトラブルとは?
浄化槽が隣地にはみ出していたらどうすべきか

2018年12月4日公開(2021年5月18日更新)
ダイヤモンド不動産研究所

1つの土地を2つ以上に分ける「分筆」や、いくつかの土地を1つにまとめる「合筆」という手続きが、思わぬ隣人トラブルを招くこともある。東京土地家屋調査士会に、分筆にまつわるトラブル事例と解決策について聞いた。

「分筆」は土地の一部分売却時などに必要

分筆時は、地中のタンクに注意を分筆時は、地中の浄化槽に注意を(提供:東京土地家屋調査士会)

 土地を分割し、再登記する「分筆」。その目的は多岐に渡る。兄弟姉妹と一緒に土地を相続したけれど、「共有名義だと何かと不便なので土地を分けたい」というケースは多い。また、「所有する土地を一部分だけ売却したい」などの事情が生じることもある。

 東京土地家屋調査士会の佐々木義徳副会長は次のように解説する。

 「多いのは、『所有している土地を一部分だけ売却したい』という要望に基づき、分筆を行うケースです。なかには、所有している土地の一部だけ登記簿上の土地の種類(地目)が異なるため、現状に合わせた登記内容に変更するために行うこともあります。分筆を行うと、融資にあたって担保に取られる土地を制限できるというメリットも。さらに、まとまった広さがあるほど固定資産税が上がるため、相続を機に節税のための分筆が行われることも珍しくありません」

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分筆が招くご近所トラブルの実態

 広大な土地をそのまま売却するより、適切なサイズに小分けした方が、買い手も付きやすくなり、固定資産税の節税にもなる。良いことづくめのように思える分筆だが、思わぬトラブルを招き入れることがある。例えば、「地下に埋められた浄化槽のはみ出し問題」も、その一つだ。

 下水道が発達した都心部ではあまり見かけなくなった浄化槽だが、地方ではまだ浄化槽が使われている地域もある。多くの場合、浄化槽は地下に埋められているが、この「浄化槽の位置が隣接地との境界線をまたぐようにはみ出していた」としてトラブルに発展することは、決して珍しいことではない

 こうした「浄化槽のはみ出し問題」の背景には、かつて分筆が実施されたときの測量の甘さや現地調査、確認が不十分だったことなどが挙げられる。

 多くの場合、浄化槽を埋めた時代には今より敷地が広く、その中で邪魔にならない場所を適宜選んだのだろう。ところが、何かの事情で分筆が必要になった際、地下の埋設物の位置がしっかり確認されないまま、境界線が定められ、登記されてしまうということがあった。昔は境界に対する意識が乏しく、また測量技術も今ほど高いものではなかったため、アバウトな分筆が日本全国で行われていた。

 しかし、バブル経済以降は、不動産に対する個人に権利意識が高まり、境界を確定させようという動きが強化され、現在では境界確認書を添付して、分筆登記の手続きを行うことが一般的だ。

浄化槽が隣の敷地内にはみ出すと罪になるってホント?

 仮に、隣地との境界線を認識した上で、その境界線に浄化槽を設置したとすると、これは立派な犯罪。「不動産侵奪罪」にあたる。

 何十年も前の分筆時の過失が原因で、結果としてはみ出していた場合、現在の所有者が罪に問われることはない。しかし、そのまま、放置しておくわけにもいかないのが実情だ。

 「隣接地との境界が曖昧なときと同様、土地家屋調査士が現地を調査し、どこが正しい境界線なのかを突き止めます。境界確認書を取り交わす習慣がない時代に取引された土地だとしても、実際の土地の大きさを測量した、『実測図』を売買時に不動産屋から渡されているケースもあります。また、自治体によっては、敷地をどのように分けたかを記載した『分割申告図』を役所が保管していることも。こうした情報を集め、過去に遡って調べ上げます」(佐々木副会長)

 調査の結果、やはり浄化槽が隣地にはみ出しているとなれば、浄化槽を移設するか、その部分の土地について無償、あるいは有償での譲渡をお願いする必要も出てくる。

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土地をまとめる「合筆」を行うのは地主

 大きな土地をいくつかに分ける「分筆」に対して、複数の土地を一つにまとめる手続きは「合筆」(ごうひつ)と呼ばれる。合筆は、細かく区分けされた土地をいくつも持っている大地主が、管理が煩雑なため、ある程度まとめたいというようなケースに用いられる。

 単に「もともと所有していた土地の隣接地を購入した」という場合は、必ずしも合筆する必要はない。一定の条件を満たしていなければ、合筆したくてもできない可能性すらある。

 合筆するための条件は大きく3つ。

(1)所有者が同一
(2)「地目」(土地の種類)が同一
(3)合筆する土地同士が接続していること

 さらに、抵当権がついている土地の場合、抵当権の受付番号が異なる場合は合筆できない。

「敷地の最低面積」の有無を自治体に確認しよう

 合筆の条件が揃えば、後は合筆するかどうかは所有者の意志次第となる。ただし、合筆するにあたって注意しなくてはならないのが、各行政が定める「敷地の最低面積」の有無だ。

 地域によっては、例えば、「100平方メートル以上の敷地じゃないと建物を建ててはいけない」などといったルールが条例などで決められている場合がある。

 自治体にもよるが、多くの場合、条例が施行される以前に分割された土地については適用外となっている。仮に、「100平方メートル以内」の最低敷地面積が定められている地域で、各90平方メートルの2つの土地を合筆した場合、将来再び2つに分筆したくなっても、今度は最低敷地面積の抵触し、住宅が建てられなくなる恐れがある。

「合筆」は固定資産税アップに繋がることも

 さらに、合筆によって固定資産税が上がる可能性も十分考えられる。

 土地の評価は、路線価に対して平米いくらという価格を決め、道路からの奥行き、狭小地かどうかなどを加味しながら決定となる。道路に面しておらず、奥まった場所にあるような土地は、その分、固定資産税も減額される。

 ところが、こうした土地を合筆によってひとまとめにすることによって、土地全体が「道路付きである」とみなされると、当然ながら、固定資産税は跳ね上がることになる。

 土地は分けても、まとめるな。合筆の必然性があるのはよほどの大地主のみと、肝に銘じておこう。

まとめ~分筆した土地の売却時には要注意

 以上のように、分筆した土地を売却する際は、過去の分筆時の過失が原因でトラブルに巻き込まれることがある。

 特に浄化槽の位置に関しては、すでにトラブルが起きていることもあるので注意したい。

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