株式レポート
2012年5月21日 マネックス証券

G8サミットで「緊縮一辺倒」が変わる? - 村上尚己「エコノミックレポート」

・先週末行われたG8首脳会議(サミット)では、ギリシャのユーロ離脱を含めた経済問題について話し合われた。「成長重視、緊縮路線を修正」、「ギリシャにユーロ残留促す」などの方向で固まり閉幕したと、報道で伝えられている。

・会議の前半の動向を伝えた週末の一部報道では、これまでの緊縮財政路線の立場のドイツに対して、仏オランド新大統領の「成長配慮」政策に米オバマ大統領が賛意を示し、この流れに沿いG8で「緊縮一辺倒」が変わる宣言が打ち出される、との観測が伝えられた。仮にドイツが成長配慮を示し、南欧諸国に対して歳出削減ペース緩和などに踏み込む方向なら、債務不履行を巡る市場の混乱が、多少は落ち着くきっかけになっていたかもしれない。

・ただ、実際には本日(5月21日)の日経新聞で報じられているが、議論を経て最終的には、追加支援策に慎重なドイツの立場もかなり配慮される格好となった模様である。具体的な政策対応や文言については、「意見は最後まで方向感を欠いた」、オバマ米大統領も「欧州がどう対応するかが重要」と述べるに止めた、とされている。

・日経新聞のこうした記事に合わせるように、米WSJ紙でフランスなどは、ギリシャがユーロ圏に止まる点を声明文で強く示すことを求めたことに対して、ドイツなどがそれに難色を示したと解説されている。その結果、「ギリシャが公約を守りながらユーロ圏に残ることへの関心を確認する」という、あいまいな宣言に落ち着いたという。

・これらのメディアの報道は、取材先の関係者の証言に影響されるため、どの程度真実か判別は難しい。またもともとG8などの国際会議で、各国の政策が合意する場面は、1980年代などと比べると減っているし、期待できないのかもしれない。今回は、財政再建と経済成長の双方に配慮を目指すフランスの意向はある程度尊重されたが、実際にドイツに譲歩を迫る意見集約は難しかった、ということか。

・なお、「財政再建と経済成長」の同時達成が難しいのは、言うまでもなく緊縮財政そのものが成長率の足を引っ張るからである。これらを両立する主たる経済政策は、金融緩和などで経済成長を刺激する、あるいは成長見合いで緊縮財政ペースを緩める、の2つだろう。後者をとらずに、ユーロの枠組みを守るとすれば、理論上、ECBが金融緩和のアクセルを踏むことが有力な選択肢になる。


(チーフ・エコノミスト 村上尚己)