世界投資へのパスポート
【第217回】 2012年6月11日 広瀬 隆雄

欧州の山のような借金は、結束を増すチャンス!?
ギリシャのユーロ離脱問題、もう1つの視点

【今回のまとめ】
1.欧州財務省に相当する機関が存在しないのは、米国独立戦争当時と同じ
2.中央政府による債務肩代わりは、結束の強さを試すことになる
3.小さい政府 vs. 大きい政府は古典的な争点
4.ドイツ人は“怠け者”以上に“無秩序”を嫌う

“財政統合の父”アレキサンダー・ハミルトン

 “国家債務は、それが大きすぎない限り天からの贈り物なのである。なぜならそれは連邦政府の結束を強固にする役割を果たすからだ。”
~A national debt, if it's not excessive, will be a national blessing. It will be a powerful cement of our union.~

 これは米国の初代財務長官、アレキサンダー・ハミルトンの言葉です。ハミルトンは米国財務省を創設した人であり、米国財務省証券を考案した人でもあります。

 現在の欧州は、独立戦争後のアメリカ合衆国の置かれた政治・経済の状況と酷似しています。なぜなら現在の欧州はリスボン条約(EU憲法)の下に統合を進めていますが、財務省は存在せず、財政面での統合が出来ていないからです。

 そこで今回は、独立戦争後の米国が破産状態からいかに脱却したかの歴史を振り返ることを通じて、ユーロ問題を考えてみたいと思います。

米国が独立戦争に勝利した後、各州は借金まみれに

 米国はもともと英国に支配される13の植民地から成っていました。しかし植民地に対する課税への反発から米国独立戦争が起こります。13植民地は1776年7月4日に、いわゆる米国独立宣言を出します。その後の独立戦争は、結局、13植民地側の勝利に終わります。

 しかし戦費がかさみ、経済が疲弊したため、それぞれの植民地(=州政府)は戦債発行で調達したお金を返せなくなりました。州経済は破綻同然で、軍人さんへの給与の支払いすらできなくなりました。