株式レポート
2012年6月28日 マネックス証券

株式市場の「ユーロ離れ」〜2011年末の再来?〜 - 村上尚己「エコノミックレポート」

・昨日(6月27日)の米国市場で米国株は2日続伸となり、やや落ち着きを取り戻している。欧州債務問題に対する不透明感が強いが、住宅関連統計が予想を上回ったことが株高要因になった。それをうけて本日、日本株も大きく上昇している。

・米国株が反発する一方、昨日まで為替市場ではユーロドルはじりじりとユーロ安が続いた。株式が上昇する「リスクオン」の局面では、ユーロ高となる局面が多いが、26、27日はユーロ安地合が続いたわけだ(グラフ参照)。株式、為替市場で、欧州問題を含めた先行きの見通しについて温度差があるのだろうか。6月25日レポートでご紹介したが、為替市場が本日から始まる欧州首脳会議で決まる政策対応に対して最も懐疑的なため、こうした値動きの違いがでるのかもしれない。


・なお、ユーロ安が続く中での米国株の上昇は、ほぼ1ヶ月前5月末にも起きた(5月30日レポート)。ただ一時的に広がった両者の乖離は、それ以上広がらなかった。米国株は、ギリシャ総選挙後の最悪シナリオが避けられるとの期待で一足早く上昇したが、その後、米国の経済指標が悪く、結局米国株は「ユーロ離れ」できなかった。

・株式市場が、欧州債務問題への懸念から距離を置き、「ユーロ離れ」とともに上昇するシナリオとして、5月30日のレポートでご紹介したとおり、2011年末の経緯が参考になると思われる。2011年11月末の各国中銀による流動性供給、その後のECB(欧州中央銀行)による2回目の利下げと大量の流動性供給策が、南欧諸国の国債金利上昇に歯止めをかけた。この時、ECBの金融緩和でユーロ安は続いたが、それが欧州の景気安定をもたらし、それと同時に米国など株式市場でリスク回避ムードが和らいだ(グラフ参照)。


・同様に、来週7月5日(木)の欧州理事会における、ECBによる政策金利引き下げなどの金融緩和が、2011年末以降と同様の展開をもたらすシナリオが考えられる。市場では、ECBによる7月の金融緩和実施を予想する声が増えている。

・ただ、2011年12月と同様の展開となるかどうかは、①ECBの金融緩和の実効性(南欧諸国の国債金利低下をもたらすか)、②世界の景気動向、の点で現状は異なると考えている。つまり、昨年末のような展開を期待するにはまだ早いと思われるが、これについては改めてご説明したい。


(チーフ・エコノミスト 村上尚己)