株式レポート
2012年7月6日 マネックス証券

予想外の大型増資の発表を受けて連想売りも - 「投資のヒント」金山敏之が振り返る 今週の個別銘柄

今週は大型の公募増資を発表した企業への売りが目立ちました。公募増資で286億円を調達すると発表した川崎汽船(9107)が3日(火)に大きく下落したほか、同日の昼に1000億円から2000億円規模の公募増資に踏み切ると報じられたANA(9202)も後場に急落しました。川崎汽船は公募増資によって発行済み株式数が2割以上、ANAが4割弱増えることになることから、株主価値の希薄化や株式需給の悪化を嫌気した売りが出ました。

川崎汽船もANAも前期末の自己資本比率が2割以上あり、自己資本が大きく毀損して危険水域にあるわけではなかったことから、予想外の増資だったといえます。そして川崎汽船とANAはリーマン・ショック後に自己資本の増強のために増資に踏み切っています。ANAは2009年7月に、川崎汽船は2010年3月に公募増資を行っていますが、ともに足元の株価はその時の公募価格(ANA259円、川崎汽船316円)を下回っており、株主の期待に応えないままでの再度の公募増資の実施ということになります。

こうしたなか増資懸念の売りが幾つかの銘柄に波及する場面もみられました。例えば、昨年の東日本大震災で被害を受けた拠点の復旧などのために増資が必要になるとの観測があった日本製紙(3893)や、昨年5月に公募増資を行ったスカイマーク(9204)、さらに借入金が多く中期経営計画で1兆円の投資計画を発表していたJFEホールディングズ(5411)などに連想売りが出ました。特にスカイマークは3日、4日の2日間で1割も株価が下落しました。

今週、堅調さが目立ったのがニコン(7731)です。4日続伸から週末には年初来高値を更新しました。人体の様々な組織になるiPS細胞を効率良く作れる技術を米ハーバード大学などと共同で開発したといったニュースや、大手証券のレーティング引き上げ、さらにカメラ事業の営業利益が会社計画の800億円を超えて2008年3月期の最高水準に迫る見通しと日本経済新聞で紹介されるなど、好材料が相次いだことで買いを集めました。


【各銘柄の7月6日終値】終値のカッコ内は単元株数


川崎汽船(9107)      131円 (1,000株)

ANA(9202)        196円 (1,000株)

日本製紙(3893)      1,192円 (100株)

スカイマーク(9204)    462円 (100株)

JFEホールディングズ(5411)1,221円 (100株)

ニコン(7731)       2,579円 (100株)




(シニア・マーケットアナリスト 金山 敏之)