株ニュースの新解釈
【第82回】 2012年9月6日 保田 隆明

日産自動車は日本企業? フランス企業?
企業の国籍はどれだけ重要なのか

新聞を開いて企業財務や株式市況の紙面を見ると、日本企業の情報ばかりが載っている。我々が個別の株式銘柄に投資する際も、多くは日本企業のみに投資し、海外投資は投信任せにする。また、銘柄間の比較分析をする際も、基本的には日本企業間のみで行い、海外企業と比較することはあまり多くない。しかし、それでいいのだろうかという疑問がふと沸く。

日産自動車の国籍は日本?フランス?

 日産自動車(%%%7201%%%)株式の43%はフランスの自動車企業ルノーが保有しており、CEOのカルロスゴーン氏も明らかに日本人ではない。では、フランス企業なのだろうか?

 しかし、役員9人中過半の5人は日本人である。地域別売上比率は? 地域別生産台数は? と見ると、4分の3は日本以外での売上、および生産台数が占める。従業員は44%が日本人である。

 日産は株主構成がやや特殊ではあるが、ホンダ(%%%7267%%%)の海外売上比率がさらに高く(80.9%)、ほぼ海外からの売上で企業が成り立っていると言っても過言ではない。

 日本でも高卒、大卒の就職率の低さ、新卒社会人の離職率の高さが問題となりつつあるが、欧州ではもっと状況は深刻で、若者の失業率の高さが大きな課題である。

他国の人間を雇ったほうがコスト的にも有利?

 欧州各国では他国からの移民も少なくないため、外国人を雇うぐらいであれば自国民を雇うべきだという論調も当然出てくる。たとえば、フランス企業は移民ではなくフランス国籍の人間を雇うべきだということだ。

 しかし、人材がグローバル化する時代においては、他国の人間の方が優秀な場合、あるいはコストが安い場合が多々ある。企業の至上命題が利益を上げることだとすれば、それら他国の人間を雇ったほうが企業にとっては合理的ということになる。このような問題に対して、どう考えるかというディスカッションを学部3、4年生向けの授業で実施した。

 フランスからの留学生の答えは、まずフランス人を雇い、ある程度失業率が低下してきたら、企業は誰でも自由に雇っていいこととする、という答えが返ってきた。

 一方、日本人学生の答えは、優秀ならそれが中国だろうが韓国だろうがどの国の人間でもそちらを雇うべき、というものであった。授業の時間的制約上、他の学生たちの意見を聞くことはできなかったので、これら意見が留学生の代表意見あるいは日本人学生の代表意見とすることは到底できないが、意見の相違は自国内における若者の失業率の高さの違いから来たかもしれない。