株式レポート
2012年9月12日 マネックス証券

「QE3期待だけ」とは言えなくなってきた〜鉄鉱石価格も久しぶりに上昇〜 - 村上尚己「エコノミックレポート」

・目先の重要イベントである米FOMCは明日(9月13日)結果が公表される。追加景気刺激策としてQE3(量的緩和政策)を行うと筆者は予想しているが、市場の注目点は、どの程度の規模の資産購入が実現するかに移っている(9月10日レポート)。

・QE3の効果や市場への影響について様々な見方が入り混じっているが、「QE3期待だけが株式市場を支えている」という相場観もまだ多い。筆者自身も7月26日レポートで、株式や原油価格が、FRBの量的緩和期待を背景に上昇しているのではと慎重に考えていた。理由として、世界的な景気減速による需給緩和を背景に、(1)銅やアルミニウムなどの産業用金属価格が上昇していない、(2)中国の輸入鉄鉱石価格の下落が続いている、ことを挙げた。

・ただ、こうした状況が少しずつ変わる兆しがある。動きがなかった産業用金属価格も、8月後半からじりじりと上昇、9月になって先行して上がっていた原油価格を追いかける格好になってきた(グラフ参照)。


・もちろん、金融緩和期待が銅などの商品市況に広がっている面もあるが、夏場までの需給悪化が和らいでいる可能性もあるだろう。また、9月初旬まで下落する一方だった中国の鉄鉱石輸入価格が、今週久しぶりに上昇している(グラフ参照)。悪化する一方だった鉄鉱石など資源市場の需給環境も変わる兆しがでてきた。


8月31日レポートで、米国株の高値更新に必要なハードルとして、(1)南欧諸国の金利高止まり、(2)米国以外の経済停滞の長期化、を挙げた。まず、9月にECB(欧州中央銀行)は無制限の国債購入を表明し、スペインなどの国債金利も下がっている。(2)については世界的な経済減速は続いているが、中国政府も1兆元の公共投資を打ち出すなど、必要な政策対応が各国で揃いつつある。

・米国株が、9月になってすんなりと年初来高値を更新しているのは、これらの政策効果を反映しているためだろう。これらを踏まえると、「QE3期待だけ」とは言えなくなっているのではないか。




(チーフ・エコノミスト 村上尚己)