株式レポート
2012年9月14日 マネックス証券

日本株式市場展望(2012年9月)PART3 シナリオの確認 - 広木隆「ストラテジーレポート」

日本株式市場展望(2012年9月)のPART1では、「9月のメインシナリオは、QE3の決定を前提にリスクオン復活による戻り相場を想定する。次回FOMCの結果を踏まえて、確認・修正を行うが暫定的にはそうした相場観を提示したい」と述べた。昨日のFOMCでQE3が決定されたので、改めてシナリオの確認を行いたい。

PART2では、雇用統計が強めに出る場合のシナリオも提示し、「どっちに転んでも株は上がる」とした。結果として雇用統計は下振れし、ここまでのところはPART1で想定した通りの展開となってきた。

雇用統計悪化 → FOMCでQE3決定 → 円高限定的 → 日本株上昇

というシナリオだったが、特にQE3が決まっても円高にも限度があるだろうとする見方がポイントで、ここが崩れて円高が進めば日本株にとって重石となる。もちろん、まだ円高懸念は市場の一部に燻ってはいるものの、QE3が発表された直後から、一夜明けた東京時間の午前までの動きを見れば、筆者の想定はおよそ正しかったと思っている。

ドル円はQE3発表の直後、瞬間的に77円13銭をつけたものの、それは文字通り一瞬のことで、乱高下した後は77円台の半ば近くでもみ合ってニューヨーク市場での取引を終えた。東京時間に入るとじわりと円売りが優勢となって77円台の後半に戻っている(グラフ1)。QE3の購入対象が国債でなく、MBSとなったことで米国債利回りがそれほど低下しなかったことが主因だが、他にもリスクオンでクロス円が上昇したことなども影響しているだろう。グラフ2にユーロドルの動きを示した。QE3発表で一気にドルが売られ、直後に乱高下したところはドル円と同じだが、その後ユーロドルは一本調子にユーロ高である。PART1でも述べた通り、リスクオンではドルも売られるが、円もまた売られるのだ。




重要イベントが目白押しだった9月前半だが、これまでのところ、すべて株式市場に好意的な結果となってきた。ECB理事会は南欧国債の無制限の買い取りを宣言した。ドイツの憲法裁判所はESMを合憲と判断した。オランダの総選挙では自由民主党のルッテ首相が勝利しユーロにとっての朗報が続いた。やや小ぶりのイベントだが、米国ではアップルがiPhone5の発売を発表、これも期待通りの結果だった。

そして昨日のFOMCである。市場の期待に対してほぼ「満額回答」に近い内容だ。さて、残る重要イベントは来週19日の日銀の金融政策決定会合である。日銀も追加緩和に踏み切ることに期待したい。そうなれば円安・株高が進み、日経平均は、9,500円程度まで目先上昇すると考える。9,500円どころは4月に下げてから、一旦もみ合っていた水準。その後、5月に窓を空けて下放れたわけだが、そこの窓埋めが次のターゲットになるだろう。



但し、エコノミストら日銀ウォッチャーで、来週の決定会合で追加緩和を予想する向きは少数派である。QE3で急速な円高が進んだ場合はあり得ると条件付きなら今回実施を見込む人数は増えるが、大半は10月末までの緩和を予想している。

整理しよう。欧州関連の一連のイベントはすべて穏当に進み欧州不安は後退している。米国ではFEDがこれ以上ないというくらいに市場に友好的なスタンスを示した。相場はリスクオンに傾いている。ここで来週に日銀の金融政策決定会合が開かれる。追加緩和決定に対する市場の期待は低い。だから、来週の会合で追加緩和が見送られても、“失望売り”にはならないということだ。逆に、追加緩和があればポジティブ・サプライズになる。

もう何回も、こういうイベントへの賭け方を提案してきた。掛け捨ての保険と思ってコール・オプションを買うか、シナリオが外れたらすぐに投げる用意で先物を買うか、いずれにせよ、ロング・ポジションをとって臨むべきである。


(チーフ・ストラテジスト 広木 隆)