セクシー・ボリンジャーはお見通し!
【第16回】 2012年11月14日 ワタナベくん

2年前に上場廃止したチムニーが
また株式市場に戻ってくるのってどうなの?

 優待をやるというのは「個人投資家を大切にしたい(※2)」「株主には長期保有して欲しい」という会社側からのメッセージであり、塩漬け株の株主はそれに応えてくれていた人たちと言えなくもありません。

※2)株主優待は大口投資家より小口投資家が優遇されていることの多い、稀有な制度だと思います。議決権にせよ配当にせよ保有株数が多いほど株主の権利が高まる制度ですが、株主優待は100株の株主と100万株の株主がもらえるものが同じだったりするからです。逆に言うと少し公平性を欠いた制度ともいえます。

 

  経営がどうにもこうにも立ち行かなくなり、毒をも食らう覚悟で経営再建の大ナタを振るわなければならないというのであればわかりますが、チムニーは上場廃止を決めた時点において10期連続の増収増益を果たしていたそうです。それだけに、なおさら将来に期待していた人も多かったのではないでしょうか。

 もしかしたら、経営者は「こんなに頑張って業績を伸ばしているのに、なんでウチの株はここまで安値で見向きもされないのだ。納得いかん!そんなに安いなら俺が全部買ってやる!」という気持ちだったのでしょうか。

 そこにファンドが「そういうことでしたら我々がお力になりますよ」ということで声を掛けてきたら「じゃあMBOしたろう」となりますね。いずれにせよ個人投資家の立場からしたら、せっかく株主となって応援していた人もいたのに、勝手に退場していってしまって残念という気持ちでした。

ファンドはハゲタカばかりじゃない
カーライル・グループによる経営改革

  さて、そこでファンドが出てくるわけですが、世間では「ファンド」と言えば嫌がる相手から資金力にモノを言わせて奪い取り、事業をバラバラにして売り飛ばしてしまう「ハゲタカ」のことだと思っている人が、多いみたいです。

 そういうのも一つではありますが、ほかにもいろいろな種類のファンドがあります。現経営陣と組んでチムニーをMBOしたカーライル・グループは業績のパッとしない企業や伸び悩んでいる企業を買収して、経営をテコ入れして価値を高めるファンドです。

 PHSの「ウィルコム」は、2004年にカーライル・グループがKDDIや京セラからDDIポケット株を買い取った会社です(結果的に再建には失敗して、2010年に会社更生法適用となりましたが)。

 工場などでモノを吊り下げて移動する機械「チェーンブロック」「ホイスト」を作っているキトー6409)も2003年、カーライル・グループと組んでMBOを実施しました。上場廃止にした後に、不採算事業を整理したり財務体質を強化するなどの改善を行ない、2007年に東証1部に再上場しています。

 ポイントは、カーライルはあくまでファンドであるので、買収した会社をずっと経営するわけではないということです。企業価値を高めたら、株を売っておしまいにします。その資金を、次なる企業買収の費用に充てるからです。

カーライルによる経営テコ入れで
チムニーはどれだけ見違えたか

 では、チムニーはカーライルの経営テコ入れによって、どれくらい成長したのでしょうか。「新規上場申請のための有価証券報告書」から、MBOが実施された2009年度と、昨年2011年度を比べてみます。

      2009年度       2011年度
売上高 393億3173万円 → 377億6767万円
経常益  31億8739万円 →  26億6022万円
当期益  16億3963万円 →  10億4362万円

 MBO前に、既に10期連続増収増益の成長企業だったわけですが…あれれ? そんなに成長していない? 2012年12月期は売上高で前期比10%以上、単独営業利益は17%増の34億円で最高益を更新する見込みということです。店舗数は150店舗増えていますが、数字だけを見る限り、そんなに、ものすごく、見違えるように成長して戻ってくるように見えないのは筆者だけでしょうか。