《ビジネスアングル》北里研究所/北里大学/Educational Corporation/University 最新鋭の医療空間に息づく医療者の情熱とホスピタリティ

開かれたセンターががん診療の新拠点

 がんの治療実績に関する外部調査で、北里大学病院は常にトップレベルの評価を受けてきた。新病院の重点医療分野にも「集学的がん診療センター」が盛り込まれているが、センター長の佐々木治一郎の着任時の呼称は「治療センター」。佐々木は「診療」への変更を強く主張した。

「治療には、手術が成功すれば終わり。そんな響きもありますが、がんとの闘いはその後も長く続きます。手術後の通院まで一貫してサポートする拠点なら、患者に寄り添う『診療』であるべきだ。そう思っていました」

重点医療分野の一つ「集学的がん診療センター」

「集学的がん診療センター」の発足を間近に控え、センター長の佐々木を中心にスタッフたちのミーティングにも熱がこもる。新病院を訪れるがん患者を一手に引き受けるだけに、寄せられる期待も大きい
佐々木治一郎
北里大学病院集学的がん診療センターセンター長
/北里大学医学部新世紀医療開発センター教授

 佐々木は医学生時代、最愛の母を肺がんで亡くしている。病理解剖にも立ち会い、全身に転移していたがん細胞を目の当たりにして、医師としての生き方を決めたという。集学的がん診療センターには、これまでの経験と思いが込められている。

「手厚くサポートするには、情報を一元化し、北里の特徴であるチーム医療を進化させていく必要があります。センターは、通院治療室、レジメン管理室、がん相談支援室、がん登録室の四つの実務機関で構成され、治療室は60床。がん専門としては全国トップクラスです。通院治療室には看護師15〜17人体制をしき、がん相談支援室まで含めるとセンター全体で3人のがん専門看護師を擁します。家庭での療養、薬の服用など各種相談を含め、きめ細かな対応を行っていきます」

 佐々木自身の母がそうであったように、がんと闘う人は、不安に押しつぶされそうになるときがある。「そんなときにこそ頼られる存在として、このセンターを育てていきたい」と、佐々木は目を輝かせる。

 北里の医療理念を広く伝えるため。また、新病院の四つの重点医療分野を具現化するためにも、欠かせない存在が看護師である。日本一ともいわれる数の専門看護師が在籍し、定評ある北里の看護師育成。「全国に優秀な看護師を供給するという大学病院の責務として、育成には伝統的に力を入れてきた」と、看護部長の別府千恵は語る。新病院の開院で、チーム医療を担う一員としての看護師のあり方も変わっていくのか。

横と縦の連携を強化新しいチーム医療へ

「患者中心の考え方は同じですが、北里内部の横の関係が基本だったチーム医療から、地域まで入れた縦の関係が求められるようになるはずです。TSCと連携しながら退院後の治療計画を立て、地域の医療機関、介護従事者とも緊密な連携を取らなくてはいけません。TSCには10人の看護師を専従で配置する予定で、今まで以上に横の連携を深め、縦の関係も築きながら、地域に根差した新しいチーム医療に携わっていきたいですね」(別府)

「心臓破りの坂がある」と冒頭で語った渋谷は、その坂の向こうに何を見ているのだろう。

「坂の向こうには、まだまだ超えるべき坂が延々と続く。運営面での課題がまだ残され、東病院の再編も続きます。競技場はゴールではない。そこは新しいレースのスタート地点なのです」と渋谷は語る。

 開院は、長い物語の新しい章の始まりなのだ。医療界のフロントランナーであり続けるための挑戦は、これからも続く。

「患者中心の医療」「共に創りだす医療」の更なる具現化を目指す看護部

東病院を含めると16人のがん専門看護師をはじめ、28人の専門看護師と45人の認定看護師を擁する北里大学新病院。多くの看護のスペシャリストの存在が、北里のモットー「患者が本当に望む医療」の実現を手助けする
別府千恵
北里大学病院看護部長CS・チーム医療担当副院長/ICU病棟、看護部の教育担当などを経て現職
出典:私立医科大学病院部会看護部長会議
  「平成25年看護職員実態調査」を基に北里大学看護部が作成
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週刊ダイヤモンド2014年4月19日号も併せてご参照ください。
この特集の情報は2014年4月14日現在のものです
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