校門らしきものはない女子学院。道路沿いの校舎真ん中にある講堂では毎朝の礼拝を行っている

11月14日に保護者のみが参加して行われた女子学院の学校説明会。席数はだいぶ絞ったものの、リアルに校内で実施した数少ない女子校の一つである。2020年は創立150周年という節目の年だったが、新型コロナ禍で多くの行事にも影響が出てしまった。2021年はインターネット出願に変更する。2月1日入試では、女子校最多の受験生を集める人気校でもある。2時間に及ぶ説明会の様子をかいつまんでお知らせしたい。(ダイヤモンド社教育情報)

院長(中高校長)自ら執り行う朝の礼拝

 保護者だけの説明会は、シックな装いのお母さん方が圧倒的に多くを占めていた。会場となった講堂では、パイプオルガンが奏でられる中、演壇の横には、「312 マタイ 11:28〜30」と掲示してある。この「312」は賛美歌「いつくしみ深き」を示す番号であり、その続きは『マタイによる福音書』第11章28〜30節を示す。礼拝を非常に大切にしており、院長(中高校長)自ら執り行っている。学校説明会でも、毎朝生徒たちが行う礼拝を、保護者にも同じ様に体験してもらうことから始まった。

 1972年に着用が自由化されて以降、制服は多くの生徒にとっては所持していても礼服のような存在である。通学時の服装は、私立女子上位校では珍しいカジュアルなもの。そのため、スカートになじまない生徒にとっては、救われる学校ともなっている。

 2020年に創立150周年を迎えた女子学院は、フェリス女学院共々、日本最古の女子校の一つである。卒業生を見る限り、全般的にリベラルな雰囲気を感じさせる。校則はなく、生活規定が4つある。校章バッジをつける。校内では指定の上履きを履く。登校後の外出は禁止。校外活動は学校に届け出ること。実にシンプルである。

 その背景には、聖書の教えを一人一人が受け止めた上で、「自分で自分を治めなさい」という自治・自律の精神が求められていることがあるからだ。

 チャイムの音と共に開会した。学校説明会は鵜崎創院長のお話から始まる。聖書の該当箇所「疲れた者、重荷を背負うものは、だれでもわたしのもとにきなさい。休ませてあげよう」に関して、徳川家康の遺訓を語り、「フットプリント(足跡)」というクリスチャンには知られた詩の一部が読まれた。目を閉じて再びお祈りして15分。毎朝こうした礼拝が繰り返される。

 再び院長が登場し、学校の歴史について語り始める。概ね学校のサイトに沿っているので、内容はそちらを参照していただくとして、4つの教育目標だけ挙げておこう。

「教育の根幹にあるキリスト教」
「知識や経験を統合」
「バランスの取れた人間の形成」
「社会に仕える人材の育成」

 入学してくる生徒の9割近くはキリスト教に触れたことがない。学校においては、競争ではなく協働すること。何事にも適用可能な柔軟性を有すること。そんな点に触れながら、「キリスト教教育へのご理解をいただき、お嬢さんをお預けください」と締められた。