校章「三光星」が光る成城中高の校門

最寄りの都営地下鉄大江戸線の駅から徒歩1分。通学路に人気のパン店「アンボワーズ」があり、校内でも販売している。近くには東京女子医科大学もある。この秋、リアルに開催された学校説明会としては最短の45分。感染防止のため、少人数かつ短時間で終えるように入試広報室が工夫した。(ダイヤモンド社教育情報)

異性の目を気にせず過ごせる伝統校

 成城中学校の学校説明会は校長挨拶から始まった。男子校の女性校長はとても珍しい。栗原卯田子校長は都立中等教育学校から転じた。毎朝、校門前に立ち、男の子たちの成長を見守る学校の母のような存在である。

 校章というのは教育理念を端的に表す。明治18(1885)年創立の伝統校である成城のそれは「三光星」。儒教が説く3つの徳「知・仁・勇」をバランス良く備える理想のリーダーを育成するため、人間力を培うことに教育の主眼を置いている。

 明治時代から続く学校だけに、カタカナではなく四字熟語で語ることが多い。文武両道というのは伝統男子校のお約束ではあるが、学習十五則といい、「自学自習」「質実剛健」「敬愛親和」「自治自律」と並ぶ。

 栗原校長は3つの点について語った。男子校であること、伝統校の良さ、完全一貫校への改革である。これは女子校も同様だが、別学校で異性の目を気にせずに思春期を発達段階に合わせてのびのびと過ごせると気が楽になる。「学校が楽しい」という生徒が95%もいるのも頷ける。親の目から見ても同様の評価だろう。

 男子を伸ばす教育として受け継がれている教育内容、それを象徴するのが90年以上続いている7月の臨海学校(中1)である。2020年は残念ながら中止となったが、高2が中1のロールモデルになることで、自らも自覚を高めるリーダー教育の場でもある。

 伝統校は時代に合わせてその姿を変えていく。現在大きく掲げているのは「グローバル教育」なのだが、学習指導要領の改訂に合わせて、成城独自の新しい授業「数学統計」を中1に設定している。高校からはすでに「情報」が教科としてあり、統計やプログラミングに関する素養を6年間で育てる新しいカリキュラムとなる。

 ここで剣道部の部長を務めていた卒業生が紹介された。台湾の大学に進学したのだという。大学での講義は英語で行なわれており、ビジネスリーダーを目指すため国際ビジネス学を学んでいる。剣道を地元の子どもたちに教えつつ、自らも中国語を学んでいる。「自分の土台は中高の6年間で作られた」というこの剣士が、成城流のグローバル教育の現れであり、“欧米”ではなく海を越えても地続き感のある台湾というところに親近感を覚える。