What's the Cool-Biz? ビジネス価値を損なわぬ、真のクールな装いを。 今年の「クールビズ」、何を着ますか? 地球温暖化、電力問題を背景に、35度を超える猛暑ともなれば節電オフィスで仕事をするのは過酷だ。その対策として8年目を迎える軽装化「クールビズ」が、今年も官公庁や一部の企業でスタートした。 このノータイ・ノージャケットキャンペーンは2009年内閣府調査で57%という高い実践率を数えるが、各企業によるドレスコードの違いや個人の仕事服に対する意識の温度差も手伝って、「どんな服を、どう装えばいいのか」と多くのビジネスマンを悩ませているのが実情ではないだろうか? そもそも仕事服の装いは着る者のストラテジーであり、またビジネスパートナーへ不快感を与えぬことがたしなみだ。 そこでクールビズのハイシーズンを前に、ソーシャルウエアそして社会的言語としての仕事服を検証し、ノータイからスーパークールビズへ着崩し感が加速化しつつある夏のビジネスマンの装いを見直してみたい。

ソーシャルウェアとしての夏の装いを検証 クールビズ、再考。 今年もクールビズの季節がやって来た。しかし情報やマーケットに惑わされて、ビジネスの基本を忘れてはいないか?そこでクールビズという装いについて、服飾の歴史と経済の観点から明治大学特任教授の中野香織さんにインタビュー。

中野香織さん写真

なかの・かおり

東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得。英国ケンブリッジ大学客員研究員などを経て、文筆業にードとエロスと資本』(集英社新書)、『ダンディズムの系譜 男が憧れた男たち』(新潮選書)、『愛されるモード』(中央公論新社)、など多数。『GQ』(コンデナスト・パブリケーションズ・ジャパン)、『サライ』(小学館)、ウェブマガジン『OPENERS』(http://openers.jp/)にも寄稿している。

ビジネスマナーとして
引いたら足す、プラマイゼロの服装術を。

 すでに当たり前のように私たちが着てきたスーツですが、振り返れば日本における洋装の歴史はわずか150年ほど。もともと欧州の寒い国で生まれた衣服を、日本の暑い夏に適用させることには無理があるかもしれません。日本らしい夏のビジネススタイルを、ちゃんと考えなければいけない時期に来ているといえるでしょう。そこであらためて、スーツの歴史やグローバルスタンダードを踏まえながら、日本のクールビズについて考えてみたいと思います。

 「ネクタイをはずして通勤せよ」──そんなクールビズ慣行令に戸惑っている方も多いことと思います。会社によってはノータイ通勤の通達が出されるところもあるそうですが。ネクタイをはずせばそれでOK、という簡単なものではありません。

 街でたまにネクタイをはずした"だけ"のビジネスマンを見かけると、気持ちがしぼんでしまいます。スーツのズボンをはいて、そのままシャツを合わせるという、単にネクタイを省略したスタイルでは、ビジネスの相手にも失礼になってしまうと思うんです。

 そこでまず提案したいのは、ネクタイをはずしたら何か代わりにプラスする。プラスマイナスゼロの服装術です。ネクタイの代わりに例えばピンブローチを胸元に着けるとか。あるいは胸元にポケットチーフを挿すのもいいと思います。また上着を脱いだら、代わりに薄いベストを足してみるのも身が引き締まって見えてすてきです。

 私たち日本人は、お客さまをお茶でもてなす際にも、器や演出に心配りをプラスしますよね。同様にビジネススタイルにも、何かプラスしてすがすがしい身なりを演出する心の余裕が欲しいものです。

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週刊ダイヤモンド2012年「今年のクールビズ」協賛企業