起業家と大企業の「新結合」から
イノベーションを誘発する

 ようやく日本の大企業にも、スタートアップ支援やオープンイノベーションの重要性が認識されつつあります。そのような環境にあって、ムゲンラボもGATEもまさしく「時代の要請」の産物です。
中馬:はい。ただし、スタートアップ支援やオープンイノベーションは手段であって、目的ではありません。我々自身がビジネスモデルやマインドセットの変革を迫られる中で、オープンに協業・協働することのインパクトを実感し、ならば積極的に取り込んでいこう、と。我々が――そして髙橋も――目指している世界は、オールドエコノミーからの脱却であり、新しい経済、新しい社会の創造です。
 ユニークなスタートアップが大量に生まれ、オープンイノベーションやDXが当たり前になると、オールドエコノミーは早晩転換を余儀なくされるかもしれません。歴史的にも、そうした変化が何度も起こってきました。
 もうすぐそばまで来ている新しい世界は、すべてがネットワークでつながっており、そのような未来では、我々が付加価値を提供できる領域がおのずと増えているはずです。いかに早くそのような時代に転換できるか。その流れを加速していくことこそ、我々に課されたミッションの一つです。
山根:GATEでは、アジャイル開発だけでなく、本当に顧客価値をもたらすサービスなのかどうかを見極めるために、ユーザーの視点で考えるデザイン思考のフレームワークも提供しています。ただし、アジャイルもデザイン思考も、その導入や支援に対価をいただいていますが、これで稼ごうなどとは考えていません。
 中馬が述べたように、お客さま企業のDXやイノベーションを支援し、これを広げていくことで、結果的にKDDIのさまざまな技術やサービスの利用が拡大し、また新たなチャンスも生まれてくる、そういう好循環を目指しています。
 ムゲンラボが支援するスタートアップはスピード感があって、しがらみのないところが魅力的です。自分たちのビジネスは必ずや成功するという信念の下、一心不乱に取り組んでいます。一方の大企業は、いろいろなしがらみを抱えているとはいえ、多種多様なアセットを持っています。
 昔からいわれてきたように、スタートアップと大企業は相互補完の関係にあるのは間違いありません。スタートアップならではのスピード感、創造性や構想力、リスクテーキングへの覚悟などは、新規事業やイノベーションに積極的な大企業の人たちの目には、うらやましく、そして非常に魅力的に映っています。実際、ムゲンラボの話をすると、彼らとつながりたいという声が上がってきます。
 ムゲンラボに来ている優秀なスタートアップと、オープンイノベーションに関心のある大企業とがつながることで、どちらも何らかの「収穫」を得られるはずです。それは、当初の狙い通り、新規事業やイノベーション、新しい製品やサービスかもしれませんが、手応えやさらなる意欲といった無形の成果かもしれません。いずれにしても、スタートアップの成功、大企業の成功、そして我々の成功というトリプル・ウインが成立するはずです。