企業における出張などの渡航業務をトータルに管理するBTM(ビジネストラベルマネジメント)の普及に、弾みがつき始めている。企業がBTMに求めるのは、格安な航空券やホテルではなく、出張業務を見える化、効率化することで、経営資源の集中と生産性向上につなげることだ。業界大手のトッパントラベルサービスが説く、BTM事業の現在とは。

BTMをコア業務として
57年前に設立された先駆者

 BTMは1970年代後半のアメリカで誕生しました。航空業界の規制緩和で航空会社の新規参入増や運賃自由化、さらにはホテルなども一緒にオンライン予約できるようになり、企業が旅行会社にそうした出張関連業務、さらには出張の計画立案や旅費精算までをアウトソーシングすることで、BTMは広く普及していきました。
 トッパントラベルサービスの創業は1961年です。まだ日本でBTMという概念が普及する前から、外資系企業の出張・渡航業務などのサポートを主とするTMC(トラベルマネジメントカンパニー)としてスタートし、60年近くににわたって手がけてきた業界のパイオニアと自負しています。
 また弊社はグローバルにビジネスを展開している旅行会社などの各ベンダーとパートナーシップを結び、グローバルでサービスを提供できる体制を築いています。日本企業のグローバル化でBTMのニーズは高まっており、グローバル体制でのBTM提供は今後ますます必要になるでしょう。

企業のニーズはコスト削減よりも
生産性向上と内部統制強化へ

 BTMという言葉を聞くと、格安な航空券やホテルの手配によるコスト削減策だろうと思われてしまうことが多いです。
 たしかにBTMは、結果的にはコスト削減策としても効果がありますが、それはたくさんあるメリットの中の一つでしかありません。
 実際、BTMの導入を進めている企業が求めるのは、かつてのような安い旅費ではなく、生産性向上や内部統制の強化など、日本企業が現在強く求められているマネジメントの問題解決の手段としてのBTMです。
 出張データの見える化と分析で出張費を最適化することは、結果として出張コストの削減にもつながりますが、他にもBTMで得られるメリットについて順次、説明しましょう。
 まずはリスクマネジメントです。出張中のさまざまなトラブルや、自然災害やテロなど、海外に渡航する従業員の安全確保は重要課題です。実際、次ページの参天製薬様と同様に、予約記録と連動した危機管理ツールを導入する企業が、年々増えています。
 また、内部統制の強化で言えば、出張規程の整備、航空券やホテル宿泊などの購買プロセスの見直しは、コンプライアンスも絡む問題です。
 さらに、出張に関わる旅行手配や経費関連業務を効率化することで、出張者本人だけでなく、関連部署の負担軽減にもつながり、それが企業の生産性向上をもたらします。
 こうしたリスクマネジメントや内部統制、コンプライアンス、生産性向上、コスト削減など、BTMがもたらすメリットが本業への経営資源集中を可能にし、企業の競争力向上へとつながるというわけです。
 また、企業の競争力向上には、経営やビジネスにAIやIoTなどの最先端技術をより戦略的に活用することも不可欠です。

仲東 駿  SHUN NAKAHIGASHI

 そのためBTMにおいてもさまざまな最新ITツール(①海外・国内オンライン予約②出張精算③危機管理④データ分析など)が普及しています。弊社では、それらをいかに活用するかを企業のニーズに合わせてコンサルティングを行い、最適な形へとデザインしております。あわせて、過去の旅費データを用いたトラベルポリシー(旅費ガイドラインや購買ポリシーなどの出張規程)の改善支援などや、出張者一人ひとりに対しても、満足度の高いきめ細かなサービスも提供します。
 BTMはいまや、海外渡航業務の多いグローバル企業にのみ必要なものでなく、競争力向上を目指す企業にとって不可欠の存在であり、より早期の導入や見直しが競争優位性の向上に役立つといえるでしょう。

Case 参天製薬
BTM導入の最大のメリットは
出張の可視化、透明化、効率化

中央右 佐藤正道 参天製薬
2003年に入社後、薬粧事業部長、企画本部長、欧州事業統括等歴任、 現在は常務執行役員チーフ・コンプライアンス・オフィサー兼CSR・内部統制本部長としてグローバルでのコンプライアンス及びCSR活動の推進に取り組んでいる。 また、2016年には間接サポート業務を集約した参天ビジネスサービス株式会社の社長を兼務し、間接業務の効率化やコスト削減なども推進。
右 石田達哉 参天製薬
1988年の入社より情報システム部門にて基幹系システム、情報系システムなどの企画・導入に従事。2016年の参天ビジネスサービス株式会社設立に伴い、会計処理や給与計算処理などの業務サービスを担うアドミニセンター長に就任。システム導入の経験を活かし、プロセスの見直しやシステム活用などによる業務効率化を推進。

中央左 石井英和 トッパントラベルサービス
1988年に入社後、現在に至るまでBTMを通じて日本企業のグローバル進出のサポートや、外資企業におけるグローバルBTMの日本国内展開に従事。

左 仲東駿 トッパントラベルサービス
2008年入社。2015年まで大阪事営業所にてトラベルマネジャーとして出張手配や添乗などの営業業務に従事。東京本社での勤務開始後は、大阪営業所での知識や経験を活かしながらBTM営業専任として参天製薬を始め、様々な業種の大手企業を担当。

参天製薬 常務執行役員 佐藤正道氏

 参天製薬のヨーロッパ子会社の社長時代にBTMを使っていたこともあり、日本でも導入しました。11社に提案を求め、その結果、選んだのが、トッパントラベルサービスでした。
 BTMの一番いいところは出張関連業務の“見える化”ができる点です。航空券やホテルの手配、および保険の付保を任せることで、出張業務の透明化やガバナンスの向上が見込めますし、会社全体の業務効率も上がります。
 我々がBTMの目標としているのは単なる経費削減ではありません。一番大切なのは社員の安全であり、社員に効率的に働いてもらおうということなんです。
 だから社員が出張手配を依頼しようとパソコンで予約画面を呼び出しても、格安航空会社はいっさい表示されない設定になっています。何時間もかかって搭乗手続きをするのではなく、最も効率的に仕事に取り組める経済合理性の高いものを選んでくださいということです。
 一方で、自然災害やテロなど、何かあった場合には、出張で海外にいる社員全員の所在がすぐわかるシステムを構築してあります。もちろん、社員のプライバシーは守られる仕組みになっています。
 コーポレートガバナンスにおいてもリスクマネジメントは重要であり、そのリスクは社員だけでなく、事業継続などさまざまなものがあります。そうしたリスクを事前に想定して、リスクを減らしていくのが、私の役目だと考えています。BTMの導入は、そのために欠かせないものとなっています。

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