4つの未来シナリオをもとにした
新たな中期経営計画

 2018年の社長就任時に「次の出光づくり」を宣言されています。それは事業構造の改革とともに、人材や体制等の改革を成し遂げていくことを意味すると思います。そこでまずは事業構造の変革について、新中期経営計画に絡めて伺います。

 貴社は2050年(パリ協定の目標期限)の環境想定から4つの未来シナリオを描き、より強い環境対応が求められる『虹』というシナリオで2030年のビジョンを示し、そこからバックキャストする形で2020年からの新中計を策定されました。この『虹』の英語表記はRainbowではなく、Prismです。どのような意味が込められていますか。

 プリズムのほうが立体的ですし、光を分散させて虹色をつくることから、変化の中で輝くというイメージもあります。現時点で2050年の世界がどのようになっているかを決め打ちするのはとうてい無理です。ですが、わからないで終わらせるのではなく、自分たちなりの研究で4つの未来シナリオを想定したことに大きな意味があると思っています(図表「出光興産が考える4つの未来シナリオ」を参照)。

 今回の新中計では『虹』というシナリオを選びましたが、3年後にまた新たな中計をつくる際にこれらのシナリオがどう変わっているか、見直しの必要があるかどうかを再考することが大切です。先の見えない不確実な時代だからこそ、長期的に物事を見る目を社内にしっかり根付かせたい。その面でも、この未来シナリオ策定は非常に有効です。

 ちなみに4つのシナリオは、作成に関わるメンバーや経営陣とみんなで徹底的に議論してまとめたものですが、4つそれぞれに深い分析結果があります。今回の新中計は、環境対応に向けた社会変化が織り込まれたシナリオ3『虹』に基づいて策定しましたが、さらなる環境対応が強まるシナリオ4『碧天』に進んだとしても、「地球環境・社会との調和」という方向性は変わりません。どのシナリオが到来しても柔軟かつ強靱に対応できる「レジリエントな企業体」を目指しているのです。

 なおこの新中計では、「レジリエントな事業ポートフォリオの実現」と「社会の要請に適応したビジネスプラットフォームの構築」という、2つの基本方針を掲げています。