2007年には、さらに「つねおポスト」というのも始まりましたね。

 これは、従業員みんなが頑張ってくれている中で、私の日頃の思いや関心事をみんなにきちんと伝えなきゃいけないと思って始めた社長ブログがきっかけです。ブログはもう700回ほど発信していますが、そこに投書箱みたいなもの、通称「つねおポスト」を設けました。従業員の声や意見を直接聞きながら、双方向のコミュニケーションができるようにしたい。そう思ってスタートしました。

 この「つねおポスト」では、さまざまな改革アイデアや提案が届いています。先ほどご紹介した「MIRAI活動」も、このつねおポストへの投稿がきっかけとなりました。また、「世代別新規事業企画」というアイデアもありましたね。「いつもおっちゃんたちと一緒なのは嫌や」という若者の本音もあったのでしょう(笑)。たしかに職場では同世代だけで仕事をすることはありませんからね。20代、30代、40代と世代別に新規事業を公募したりしました。

 このように従業員一人ひとりが率先して改革の当事者となってくれたことに、とても感謝しています。

 以前のムラタは、トップダウンの上意下達でいっせいにみんなが動くような会社だったのですか。

 以前はやはり、上意下達のトップダウン型組織でしたね。指示通りやっていればいいという、指示待ちスタイルの人が多かったように思います。組織も製品別の事業ユニットが細かく分かれたタテ割りで、ヨコの連携はほとんどありませんでした。

 そこで、2005年に事業本部制を導入し、縦割り化された組織を、コンポーネント・デバイス・モジュールという大きな3つのユニットにくくり直して再編しました。

 また、技術・事業開発本部についても、再編当初は「技術開発本部」という名称だったのですが、2007年1月に「事業」という言葉を加えました。なぜそうしたかというと、技術者たちに事業マインドを持ってもらうためです。技術者というのは、時に一人よがりの開発をしてタコツボにはまり込んだりしますからね。技術者が市場や顧客のニーズをしっかりととらえながら技術開発することで、他部門との連携がスムーズになります。全従業員が事業マインドを持ち、それをみんなで育てていきたい。その思いで改名しました。

 また、これまで私たちは「3次元マトリックス経営」といって、事業部と工場と本社機能スタッフの3つの軸により、損益管理意識の高揚、事業所内の品種間シナジーや最適化への志向、事業部と事業所での相互牽制などの面で、グループ全体の収益性確保を実現してきました。

 しかし、顧客のグローバル水平分業や電子機器の主要消費地の変化、アジア同業の躍進といった環境変化の中で、顧客が求める価値を提供するための戦略の一貫性や意思決定スピードが求められており、コスト面や需要地の点からグローバルでの生産体制の最適化といった課題に取り組むうえで、マトリックス経営体制の弊害も表れてきました。

 そこで2011年に、事業経営者が事業運営に必要なすべての機能においてリーダーシップを執れる「連結経営」体制へ移行させ、事業経営能力に長けた真の経営者を育て、ムラタ全体の組織能力を高め続けることを目指しました。そのため、できるだけ組織が機動的に動けるよう、決裁権も徐々に現場に移していきました。