愚直と誠実な風土で
新たな製品を創り出す

 お話を伺っていて、デンソーが人づくりを大事にする会社だというのが非常によくわかりました。そうしたことも含めて、デンソーという会社は一言で言うとどういう会社だと思いますか。
 難しいですね……。愚直。

「愚直」ですか。

 はい。愚直に、誠実に、モノづくりを粛々と続ける会社だと思います。そして、「やり切る」「考え抜く」といった、何事にも「トコトンまでやり切る」という風土があります。当社は自動車の部品メーカーという“黒子”であり、なおかつ、非常に信頼性が求められるモノづくりが求められています。こうした歴史が、愚直で誠実な体質をつくり上げてきたのだと思います。

 とはいえ、いまや従業員約15万人、売上高4.5兆円という規模に成長したので、今後は社会に対し、デンソーとはどういう会社なのかをもっと情報発信したいと考えています。

 具体的にはどのようなことを考えているのですか。

 当社はこれまで(日立製作所の「Inspire the Next」のような、企業の理念や目指す方向性などを示す)タグラインがありませんでした。まずは世の中に「デンソーはどういう会社なのか」を知ってもらおうと思い、2017年1月に、「クラフティング・ザ・コアC」(Crafting the Core)というタグラインを発表しました。「コア」はそれぞれの人にとって大切なものということです。自動車関連の製品のみならず、社会に役立つ大切なものを創り出す企業でありたいとの思いを込めました。

 最後の質問です。有馬社長が考えるデンソーのコアとは何でしょうか。

 2つあります。一つはさまざまな技術や技能をとことん磨き上げ、新しい価値を世の中に生み出し続けるということです。技術やモノづくりの進化によって成長してきた会社ですから。もう一つは、企業理念にあるように人の幸せに貢献する志を大切にしているということですね。これからもモノづくりを通じて世の中の人を幸せにしたい、社会で役に立つものを創り続けていきたいと思っています。【完】


●聞き手|松本裕樹(ダイヤモンドクォータリー編集部)●構成・まとめ|松本裕樹 ●撮影|中川道夫