2019年4月、富士ソフトに848名の新入社員が入社した。積極的に事業を拡大していくためには、お客様のICTへのニーズに応える体制の強化が欠かせない。新入社員が一日も早く戦力として活躍できるよう教育を担当する人財開発部 教育企画室 室長の富岡 悟が富士ソフトの新入社員研修を語る。

企業は人なり。自主性を尊重しながら徹底的にサポート

▲教育企画室のメンバーと富岡

教育企画室は社員研修の専任部署だ。メンバーは6名。新入社員研修はもちろん、中間採用での入社者、昇格者、幹部など社員のキャリアアップを考え、それぞれのフェーズに必要な研修を企画する。事前準備から当日の運営、講師、事後のフォローまで一気通貫で遂行する。

富岡 「富士ソフトの新入社員研修は、大きく分けて全員参加の共通研修と配属先の職種ごとにカリキュラムの違う職種別研修があります。共通研修は入社から約 1週間かけてビジネスマナーや社内ルール、社内システムなど当社で仕事をする上で必要な基礎知識を学びます
なかでも、一番力を入れているのは “富士ソフトの精神 ”という富士ソフトの社員として共有するべき考え方を伝えることです」

全23章からなる“富士ソフトの精神”は、会社の基本理念、経営理念からはじまり、ビジネスとは何か、経営者とは等々、全社員の共通認識が明文化されたものであると言える。

富岡 「 “富士ソフトの精神 ”の 1行目に書かれているのは “企業は人なり ”という基本方針です」

企業は人。人材の価値がそのまま企業価値に直結するのだと理解しているからこそ、富士ソフトは教育に力を入れているのだ。また富士ソフトの精神において、その教育については“自主性を尊重する”と謳っている。富士ソフトの考える自主性とは──。

富岡 「富士ソフトの新入社員の約半分は文系出身者です。不安を抱えながらエンジニアを目指して入社する人も多いでしょう。会社は自らチャレンジしようとする人を全面的にサポートするので、安心して飛び込んできてほしいです。ただ、私たちは教えることしかできません。成長するのは自分自身だということを必ず伝えています」

より新入社員の身になる体験を──進化し続ける研修内容

▲箱づくりワークショップの様子

研修は、ずっと同じことをやっていればいいというわけではない。内容を常に斟酌し、アップデートすることが必要となってくる。

その一環として、毎年1回実施する社員満足度調査では、研修についての意見や要望も集めている。新入社員からのアンケート結果も含めて検討し、研修内容を改善し続けているのだ。

富岡 「たとえば、これまで技術職の職種別研修では、 C言語や Javaのプログラミング研修を行ってきましたが、 ITインフラ構築を担うインフラ事業部へ配属される社員には、プログラミングではなくサーバー構築の研修を始めました。
Webサーバー、アプリケーションサーバー、データベースサーバーの 3階層構造が構築できるようになれば合格です。先輩社員から、自分もこういう研修を受けたかったと言われることも。研修内容は日々進化しているのです」

また、新入社員研修は一方的な座学だけではない。体験型のワークやアウトプットする場を多く提供し、「知っている」から「できる」ようになることを意識して研修を組み立てている。

富岡 「ビジネスマナーの研修では『名刺交換』や『上司への適切な報告、連絡、相談』が咄嗟の時にもできるよう、繰り返し身体を動かしながら練習を行っています。また、 ITスキルの研修では、まずはシステム開発の流れを “箱づくり ”を通して疑似体験します。チームでひとつのものをつくり上げるワークを行うことで、自然と PDCAを習得できるようにしています」

座学だけでは補えない「身体で覚えること」や「成功体験」を研修で学び取ってもらうために──あらゆる角度から研修を行う。

また、その修了基準に関しても富士ソフトは杓子定規でなく、柔軟な視点で考えているのだ。

富岡 「 ITスキル、アルゴリズム、プログラミングを座学&実技で学び、研修の最後には今まで学んだ知識の集大成として、ひとつのシステムを構築することを修了基準に設定しています。
一人ひとりの習熟度により、合格レベルも変えていて。もちろん、最低基準はつくりますが、自身がどこまで頑張れるかという努力目標を持ちながらシステム構築に臨んでもらいます。自身で設定した目標をクリアすることで達成感を感じてほしいです」

人数が多いと目が行き届かない?

▲研修で講師を務める富岡

800人もいたら、一人ひとりに目が行き届かないというような印象を抱かれてしまいがちだ。しかし、人数が多いことは利点にもなり得る。人数が多いからこそ、習熟度ごとにクラス分けをして、それぞれのレベルにあった進め方をすることができるのだから。

富岡 「研修途中で、習熟度を判定するため定期的にテストを行い、研修クラスの再編成を行っています。習熟度に応じて、カリキュラムの難易度や講義のスピード、講師・サブ講師のサポート内容を変えることで、 IT初心者でも無理なく研修プログラムを完遂できるよう工夫をしているんです」

クラスの再編成を定期的に行っていても、それはデータを把握した上で組み分けを変えただけであり、「一人ひとりに目が行き届いている」ことにはならない。そして各クラスの講師だけでもやはり限界がある。

では、どうするのか。

富岡 「富士ソフトでは BS( Brother&Sister)制度を導入しており、その BS員の中から選ばれた先輩社員がサブ講師として研修に参加します。新入社員の近くで質問に答えたり、理解できていないところがないか、サポートします。またサブ講師に直接相談しづらい新入社員のために “悩み相談窓口 ”を設け、研修中も配属後も一人ひとりの悩みに対して、解決できる仕組みをつくっています」

また、研修は通常の講義だけではない。曜日ごとにテーマを決めた勉強会も実施している。定時後の自主参加形式だが、講師が講義を行うということで、約200名の新入社員が積極的に参加した。

IT初心者だから自分で努力しろ──ではなく、望めば学べる“場所”と“機会”を提供するのが「富士ソフト流」。

とはいえそれでも習熟度には個人差が出る。どうしても遅れてしまう新入社員が出てしまうことは避けられない。だが、富士ソフトはそんな新入社員に対する「受け皿づくり」にも余念がない。
富岡 「もともと理系と文系で配属時期をずらしていますが、今年から研修最後のテストで習熟度が低かった人はさらに 2週間、研修を延長しました。たった 2週間ですが、やるのとやらないのでは大違いです。居残り勉強のようであまり喜ばれないかなと心配しましたが、最後までやりきった新入社員が『ありがとうございました』と自信を持って配属先へ行ったときはやって良かったと思いましたね」

そして配属された後に、不安なことがあっても近くに相談できるBS員がいる。

富岡 「 BS員は、 BS員としての心構えや、やるべきことを学ぶ BS研修を受けています。新入社員に対する後輩指導の基本的な技術・スキルだけでなく、 BS員同士が交流をすることで様々な経験や体験を共有し、効果的な後輩指導ができるようになります。年齢や部所の違う多くの BS員が交流することで、新たな発見やシナジーが生まれるんです」

さらに、半年後にはフォローアップ研修として再び集まり、配属後の悩みを共有したり、解決策を考えたり、次の成長に向けて目標を設定する場を設けている。

富岡 「フォローアップ研修では、新入社員研修の時から一回りも二回りも成長した姿を見て私たちもホッとします。全国の拠点に散らばった同期とひさしぶりに集まれるので、それぞれの近況を話して盛り上がるんです。同期のつながりは特別なものがありますから、 800人も同期がいるというのは大きな糧になると思います。大事にしていってほしいですね」

「“挑戦と創造”を大切にして欲しい」研修への熱い想い

▲人財開発部 教育企画室 室長の富岡 悟

富岡自身、新卒で入社して32年。長年技術職として従事し、2年前に研修を担当し始めた。

富岡 「長い社歴の中ではいろいろなことがありましたが、やはり実感しているのは富士ソフトが人を大事にする会社だということ。やりたいことを応援して、がんばって成し遂げたことを公正に評価してくれます。新しいことにチャレンジしたい人にぜひ入社してほしいです
毎年 5月に行われる創立記念式典で、前年に活躍した社員やプロジェクトが表彰されるのですが、今年は 2018年新卒入社の中から 4名が優秀新人賞に選ばれました。本人たちの努力の結果だと思いますが、入社 1年目でも活躍が認められれば会社としてもこのようにしっかりと評価してくれるんです」

入社してからすぐにでも活躍できる人材になってもらうために。富岡は、新人研修において、ある心構えを持っている。

富岡 「人事は新入社員が会社で最初に接する人。人事=会社のイメージになります。ですから会社の顔として、新入社員の見本となるよう緊張感を持たなくてはならない。時には厳しく、時には優しく新入社員と接しています。この会社に入ってよかったと思って、活躍してもらいたいです」

研修を通し、新入社員と関わり続ける富岡。そんな富岡が新入社員に望むことは──。

富岡 「自分自身の可能性を信じ、目標や夢を持って仕事に臨んでもらいたいです。自分は将来こうなりたい、こんなものをつくりたいなど。目標や夢を持つことで、そこに向けてやるべきことや自分に足りないものがみえてくる。目標を達成することでモチベーションにつながり、さらに次の目標に向けて頑張ることができます。
小さな目標も積み上げていけば、大きな目標につながっていくんです。当社の経営理念の中に “挑戦と創造 ”という言葉があるんですが、新入社員の皆さんにはこの理念のように失敗を恐れずいろいろなことに挑戦していってもらいたいですね」

日本のソフトウェアを牽引する富士ソフト。その新人研修はとても効率的で手厚く、そして愛に溢れていた。“企業は人なり”を掲げる富士ソフトの“人を大事にする”人材育成のメソッドはこれからも活躍できる人材を排出し続けるだろう。