イギリス出身で新卒入社5年目のエイスコフ マークは、富士ソフトの金融事業本部で海外の最先端のソリューションを調査し、アライアンスを組んでいくことをミッションとしている。彼がなぜイギリスから来日し、富士ソフトでグローバル化の急先鋒を担うようになったのか、そのストーリーを紐解く。

ニート生活の中での学びが原点だった

▲大学時代

生まれはイギリス ノッティンガム。現在のアグレッシブなマークからは想像もできない、無気力な少年時代を送っていたと言う。

マーク 「勉強も遊びも何もやる気が起きなくて、 『だるい』が口グセのすかした子どもでした……。 16歳で中学校を卒業した後、進学もせず、就職もせず、家でダラダラと過ごしていました。いわゆるニートですね」

日本でもたびたび話題になる“ニート”という言葉であるが、語源はイギリスのNEET(Not in Education, Employment or Training)。日本でいう“ニート”とは少し意味が違う。16歳~18歳の若年層を指しており、社会に参加させるために政策的措置が必要な人という認識なのだ。

マーク 「 2年間、とことん何もしない日々を過ごしました。そうすると不思議なことに、自然と『そろそろ何かしないとまずいぞ』という気持ちが芽生えてくるのです。
人間としての生存本能なのでしょうか。このままでは取り返しがつかないという焦りに突き動かされ、ひたすら自分と向き合いました」

一念発起。やる気を出したマークは、大学進学を目指す。しかし、これまで勉強してこなかった自分が理系で勝負するのは難しいだろうと考え、文系で一番難しそうな“日本語”を勉強することにした。

マーク 「正直なところ、それまで特別日本に興味があったわけではありません。ただ、一番難しいことに挑戦しないと意味がないと思っていました」

大学に進学するためには、20歳から入学できる専門学校のようなところで試験に合格する必要があった。しかしまだ18歳だったマークは、独学で日本語の勉強を始める。時間はいくらでもあるのだ。

マーク 「ニートというとあまり良いイメージがないかもしれませんが、本当に有意義な時間でした。自分と向き合い、これだと決めたことをひたすら勉強する。
日本でも、社会人になって仕事をしながら英語を勉強する方が多くいると思いますが、片手間に語学を習得するのはとても難しいことだと思います。何もない状態で一日中それだけを勉強したら、あっという間に話せるようになりますよ」

マークは無事に試験に合格し、シェフィールド大学に進学する。新入生なのにすでに日本語をすらすらと話すその腕前は、4年生と勘違いされるほどだった。

「絶対に日系企業で働きたい!」貫いたこだわり

▲金融事業本部 プロジェクトC&C部 フィンテック企画室 室長 エイスコフ マーク

4年間かけて日本語を学び、日本へ留学もしたマーク。そこまで伸ばした語学力を生かすために日本で働きたいと思うようになった。しかし、イギリスにいながら日本の企業への就職活動をするのは困難の連続だったという。というのも、マークにはある“こだわり”があったのだ。

マーク 「日本で働くといっても、外資系企業であれば就職活動もそんなに難しくはなかったと思います。でもいろいろな国の人が働いていて英語でコミュニケーションがとれてしまう環境では、自分が磨いた日本語のスキルが生かせないと、日系企業にこだわっていました」

卒業するための論文を執筆する傍ら、日系企業の人事部へメールを送り、手探りで地道な就職活動を進めた。

マーク 「大きい会社では、 Skypeで面接してもらうなんてもっての外。まずは会社説明会に参加する、という規定のルートに乗れない人は、選考もしてもらえないことがほとんどでした。逆にベンチャー企業は柔軟ですが、ビザの取得が難しい……。
そんな中、大学に留学で来ていた日本人に就職フェアというのがあると教えてもらったんです。日程を合わせて自費で渡日し、数社とアポイントを取って会ってもらうこともしました」

先の見えない就職活動に疲弊しきっていたマークに救いの手を差し伸べたのが、就職フェアに出展していた富士ソフトの人事担当者だった。

マーク 「型にはまったような企業とのやりとりにうんざりしていたんです。でも、富士ソフトは違いました。ブースで親身に話を聞き 『 Skypeでの面接もできますよ! 』とも言ってくれて。
あまりにもあっさり面接してくれると言うので、正直、半信半疑でしたが、フレンドリーな優しさに元気をもらいました」

帰国後、Skypeでの面接は実現した。

マーク 「とんとん拍子に話が進み、最終面接は対面で話がしたいと言われ、『これで採用してもらえるなら』ともう一度日本に飛びました。今では良い思い出ですが、就職活動は本当に大変だったので、富士ソフトに採用してもらえたときはすごく嬉しかったです。
富士ソフトは希望していた日系企業であり、チャレンジを受け入れる柔軟さがあって、さらに IT分野でおもしろそうなことをやっている。すばらしい企業に出会えたと思いました」

国内営業で得た気づきと、訪れた転機

▲頼もしい部下と

2015年4月1日、マークは377人の同期とともに入社式に臨み、新入社員研修を受けた。もちろんイギリスとは何もかもが違う。しかし、文化の違いに驚く、ということはなかった。

マーク 「少し離れたところから客観的に見るクセがあって、いわゆる日本的な仕事の進め方に『なぜこうするのだろう?』と興味深く感じていました。驚いた──というよりはおもしろいな、という関心の方が強かったですね」

営業職として配属されたのは国際事業部。当時の国際事業部では、海外の取引を見据えてはいたものの、国内企業への営業活動も行っていたのだ。“国際”なのに国内営業を行うという一見矛盾しているようにも思える体系は、マークの目に不思議に映った。そしてその経験はある“気づき”を生む。

マーク 「国内営業も初めてのことばかりだったので、最初は良かったのですが、やはり自分のスキルが生かせるのは海外企業とのコミュニケーションだという想いが強まっていました」

ちょうどそのころ、転機が訪れる。金融事業本部を担当する役員が、海外から重要なアライアンス企業のVIPを迎えるのに、通訳として力を貸してほしいと言われたのだ。

マーク 「英語も日本語も話せますが、通訳はさらに特別なスキルが必要な難しい仕事です。慣れない業務でしたが、重要な会談を成功させなければと必死で務めました。会食の場でも、当然自分は食事を口にする余裕なんてありません」

そして後日、その役員から金融事業本部に異動してこないかと打診があったのだ。

マーク 「後から聞いたことですが、その日の仕事ぶりをとても評価してくれたそうです。ちょうど金融事業本部で海外の最新技術を持つソリューションベンダーとアライアンスを組み、付加価値の高いソリューションを提供していきたいという動きがあって、その役割を担わないかというお話でした」

それはまさに自分のスキルが生かせる仕事だと思ったマークは、新たな業務にチャレンジすることを決めた。

自分を曲げずに、これからも

▲愛娘の存在が力の源

異動から2年が経ち、2019年現在は金融事業本部 プロジェクトC&C部 フィンテック企画室で室長を務めている。これまでのアライアンス強化の取り組みに加え、新たな挑戦も計画している。

マーク 「これまでは日本を拠点に調査、交渉をしていましたが、今後はアメリカにも拠点を構え、日米を行き来してアライアンス先を探していきます」

富士ソフトはあらゆる業種・業態のお客様にICTを活用したソリューションを提案してきた。その技術力と融合して、お客様のビジネスの付加価値向上に役立つソリューションを、マークは必ず見つけてくるだろう。

マーク 「本部として初めての取り組みなので、プレッシャーを感じていますが、前例がない分、自分のやりたいように楽しみたいと思っています」

そんなマークの仕事のスタンスは「無理をしない、無駄なエネルギーを使わない」というもの。

マーク 「無理をしたらパフォーマンスが下がるし、無駄なことをする意味がわかりません。日本人は無理をして頑張る方が多いので、僕のことをやる気がないように思うかもしれません。しかし無理も無駄もなくした方が、結果的に最もパフォーマンスが高くなると思っています。
できることはできる、できないことはできない──こうすべきだと思った意見ははっきり言うようにしています。相手が上司や役員であっても同じです。
でも、それがマークの良いところだと言ってくれるんです。上司に恵まれていますね。室長に任命されたときも、『役職が上がるほど、周りからのプレッシャーは強くなる。そこで自分自身も期待に応えたいという責任感から、これまでの考えを変えたくなるときが来ると思う。それでも、マークは自分を曲げないで頑張ってほしい』と激励の言葉をもらいました。これから先、この言葉を思い出して、頑張ろうと思うことが何度もあるんだろうなと感じています」

そんなマークを一瞬で笑顔にする存在が1歳の愛娘だ。

マーク 「娘は、天使ですね。自分の支えになっています。妻も仕事をしているので、僕が保育園の送迎をしたり、子どもとの時間を優先させてもらったりすることもあります。
妻は出版関係の仕事をしているのですが、あまり働き方改革が進んでいる業界ではなく、子育てとの両立がとても大変そうです。ですが富士ソフトは制度も充実していますし、フレキシブルな働き方が浸透しているので助かっています」

家族の存在を原動力に、仕事にまい進するマーク。アメリカで新たなアライアンス先を見つけるため、これからも自分を曲げず、走り続ける。