グローバルワン・全員経営──これは、私たちファーストリテイリングが、世界ナンバーワンを目指す上で大切にしている精神です。それをもとに経営者視点を持ち、事業支援に奔走するのが事業経営支援部。世界を飛び回るリーダーの思考と行動をひも解いていきましょう。

マクロの視点とミクロの行動の融合。事業経営支援部の役割

▲事業経営支援部 事業経営支援部チーム リーダーの望月善雄

ファーストリテイリングには、マクロな経営視点を持ちながら、現場の課題をミクロに見つめる部署があります。

グループCEO直轄部門の「事業経営支援部」は、その名の通り事業を成長させるための課題解決を担っています。

望月 「非常に地道な仕事ですよ。グループの経営方針や事業方針と、現場の課題を突き合わせながら、コンサルティングから具体的な解決策の実施までを行っているので。経営目線と現場目線、戦略と実践の両立が不可欠です」

特徴的なのは、経営支援をする先の多くが海外事業だということです。

海外市場はファーストリテイリングにとって、成長をけん引する重要なマーケット。

2018年8月期には、海外ユニクロ事業の売上収益が、初めて国内ユニクロ事業を上回りました。

日本をベースとして事業を海外で展開していく中では、それぞれの市場や文化によって多様な課題が生じることが少なくありません。

そこで、事業経営支援部は“社内コンサル”的な立場として、現地のリアルな姿を見つめながら課題解決の提案を行っていくのです。

望月 「ひとつのプロジェクトにかける期間は約 3カ月。さまざまな数値から課題に対する仮説を構築し、実際に現地へ飛んで実態を把握します。事業運営や店舗運営の様子を直接自分の目で見て、経営者や本部・店舗のスタッフにインタビューも行い、実情に即した仮説検証をしていきます。
必要な数値や情報を収集したら、いったん帰国。そして、問題点の洗い出しや分析を実施してから再度現地に出向き、解決策の提案をします。最終的には経営層に向けて結果を報告。その後、改善のフォローアップまでを支援しています」

課題を分析するだけでも、解決策を提示するだけでもありません。

経営視点をきちんと現場の課題にまで落とし込み、実践できるまで向き合い、寄り添う。

現場・現物・現実の三現主義に基づき解決策を提案するスタイルこそ、事業経営支援部の強みなのです。

望月 「大切なのは、グローバルに物事を見つめる目と経営視点。実際の取り組みは三現主義ですが、一方では事業を大局的に俯瞰するための、高い視座も欠かせないんです」

ダイナミックさと難しさが同居するグローバル事業の肝を語る望月。その言葉を裏打ちするのは、自身の波乱万丈な海外ビジネス経験でした。

海外の地でビジネスの醍醐味を体感。自らの想いを実現する道へ

▲建設機械メーカーを担当していた商社時代、海外駐在先の展示会にて

大学卒業後、望月が新卒で入社したのは総合商社でした。

望月 「多彩なビジネスを展開する商社に魅力を感じて入社したものの、実際にビジネスを理解するのは難しいと感じました。そこで、まずは自分が得意だった “数字 ”を生かして事業全体を学ぼうと考え、財務業務を担当することにしたんです」

現金管理から全社的な資金繰りの分析、為替管理など、望月は5年にわたり財務担当として務め上げました。そして、満を持して営業部へ。建設機械メーカーの担当となります。

望月 「営業部にいたのは 12年間。その中で 2回海外駐在を経験しました。最初はロシア、それからウクライナ。シベリアなども数えきれないほど訪れましたね」

建設機械は、道路工事や鉱山の掘削などに欠かせません。とくにロシアは資源大国。マイナス40度という極寒の地でも稼働するショベルカーなどのニーズがありました。

望月 「 1年目は現地の大学でロシア語を学び、その後は建設機械のディーラーで 3年間駐在員を務めました。ポジションは営業部長。海外でビジネスを展開することの、おもしろさと難しさを感じましたね。
2度目の駐在先のウクライナでは、子会社の社長として赴任しました。赤字が数年間続いており、これ以上の赤字は本社からも許されない状況。まさに企業存続の危機という状況からのスタートでした」

問題の洗い出し、日本への報告、新たな人材の採用……。望月はウクライナで、企業経営を根幹から構築していく経験を積んだのです。

望月 「企業を経営する立場に就くということは、社員の生活に対して、責任を背負うことを意味します。そのプレッシャーは大きかったですね。でも、どの国でも企業経営で大切なのは、社員が生き生きとやりがいを持って働ける環境づくりです。
ウクライナではビジョン・ミッション・バリューを明確に定め、繰り返し伝え続けて浸透させていきました。そうした経営者の姿を社員はきちんと見ているものです。一体感のあるチーム意識を育んでいき、最終的には赴任当初と比べて 2倍以上の社員を抱えるまでになりました」

その後、さらなる成長とチャンスを求め、事業部長として金型部品のメーカーに転職します。

ところが、世界中に数百人の部下を抱え、国ごとの文化や商習慣をキャッチアップするのが難しく、思い描いていた働き方とのギャップに直面。

そして、「より経営に近い立場で海外事業に携わりたい」という軸を据えて再度転職活動を行う中で、ファーストリテイリングとの出会いが待っていたのです。

現地へ飛ぶ、ともに前進する。これがファーストリテイリングのスタイル

▲望月は、海外でのビジネスを通して、日本の魅力に気づいたのだという

世界を舞台に経営者目線でビジネスに携わってきた望月は、その経験を通して「自分は日本が好きなのだ」という想いに気づきました。

望月 「日本で仕事をしているだけだったら、気付けなかったかもしれません。海外では、日本人が自覚している以上に日本は愛されているし、尊敬されています。その事実は純粋に誇らしく、だからこそ日本がもっと好きになったんです」

振り返れば商社もメーカーも、それにファーストリテイリングも、グローバル展開する日本企業。日本をベースに海外へ事業を展開するという醍醐味こそ、望月にとって仕事を選ぶ共通の基軸となっていたのです。

望月 「日本の強みを生かすことと、日本の価値観や手法を無理に通すことはまったくの別物。ビジネスをグローバル展開する上では、世界各地の文化や価値観を受け入れるフレキシビリティが非常に大切だと痛感しています。
だからこそ、表面的な情報だけではなく、きちんと現地に目を向け、足を運ぶリアルな行動が欠かせません。事業経営支援部としてもその姿勢にのっとり、それぞれのマーケットの実情をしっかりと見つめることをプロジェクトの第一歩としているのです」

たしかに、数字を見るだけで把握できることは存在します。

たとえば“利益率が悪い”という問題は、数字を見れば誰の目にも明らかな事実として映ります。

しかし、その真の要因を知るには、現地に向かうしかありません。

運営オペレーションが問題なのか、本部との連携が問題なのか、採用活動が問題なのか……。

表層では知りえない深層を確認するために、ファーストリテイリングの事業経営支援部は現地へ飛び、単なる推測ではなく“実態”をしっかり見つめるのです。

望月 「われわれのミッションは、現場の問題を解決して事業成長に貢献することです。しかし、社内の部署とはいえ、問題を明るみに出されて突きつけられる一面があるのは否めませんし、良い気分ではないですよね。私も、ウクライナで同様の経験があって嫌な想いをしましたから。
でも、ファーストリテイリングでは『これでもっと事業をより良くしていこう』と、ポジティブに受け入れてくれる人たちばかり。その真摯さ、実直さには、良い意味で驚きました」

各市場の特徴をきちんと見つめ、その上で事業をより良くするための共通認識を育む。

その姿勢を貫きながら寄り添い、互いに信頼関係を築いていくことが重要。

必ずしも日本の価値観だけが正解でもなく、海外の実情に即して日本側へ改善提案を投げかけることもあると、望月は語ります。

違いを受け入れながら、足並みをそろえる。そして、ともに前進していく。

これが事業経営支援部の、そしてファーストリテイリングのスタイルなのです。

信じる未来を見つめ、覚悟を決める。成長の原動力は自らの“内”にある

▲事業経営支援部のメンバーと。世界ナンバーワンを目指すうえで、事業の成長に貢献したいという志を持った仲間と、この先を歩んでいきたいと望月は考えている

ファーストリテイリングにあるのは、本気の想いとリアルな実践の徹底。それこそが、望月が心惹かれたポイントでした。

望月 「当社のステートメントは『服を変え、常識を変え、世界を変えていく』です。非常に壮大な内容ながら、その実現のために本気で挑み、成長し続けている実感があります。言葉と行動にギャップがありません。
また、『グローバルワン・全員経営』の精神を掲げ、世界のトップを本気で目指していること、『お客様の立場に立脚』『革新と挑戦』『個の尊重、会社と個人の成長』『正しさへのこだわり』という価値観もすべて、違和感なく共感できています」

誇り高き日本を発信地とし、本気で世界のナンバーワンを目指していく──。

ファーストリテイリングはまさしく、望月が希求し続けてきた場所でした。

「そんな事業に携われるやりがいは大きい」と語る言葉にも、力強さが満ちています。

望月 「ゆくゆくは海外事業の経営責任を負う立場に就くのが目標。実際に、事業経営支援部から海外事業に携わるべく羽ばたいていった人たちもいて、活躍の場は実力次第なのだと実感しています。今は “修行中の身 ”。自らのミッションを真摯に達成していくだけです」

そんな強い想いこそが、ファーストリテイリングで働く原動力になると、望月は感じています。それは逆に、自分自身の将来に対する明確なビジョンや強烈なモチベーション、厳しい仕事でもそのためにやり抜く覚悟が必要だということ。

望月 「たとえ経験に裏打ちされていなくとも、大事な起点は “覚悟 ”にこそあるのかもしれません。とくに事業経営支援部は、経営視点を持ちつつ現場の課題を見つめる客観性が求められる部署。事業成長を妨げる妥協や忖度は絶対にご法度ですから。
本気でファーストリテイリングの企業姿勢に共感できる人。本気で事業成長に貢献したいとの想いを持ち、常に本気で行動する覚悟のある人には、ワクワクするような成長のチャンスが多いと思います」

真の世界ナンバーワンを目指すファーストリテイリング。今はまだその道半ばです。

事業経営支援部は、経営の考えを汲みながら現場を率いるというミッションを通して、“その場所”への道をひた走って行きます。

「走りながら考え、変化し続ける会社ですから」と語る望月のまなざしは、ファーストリテイリングが目指すビジョンをたしかに見定め、理想の未来を映し出していました。