2019年にロシア・カザンで開催された「技能五輪国際大会」。ここでメダルを獲得した阿部金矢さんは、総合学園ヒューマンアカデミーで「自分らしい学び」に出会えた生徒のひとりでした。「時代が求める教育のカタチ」を追求し、多彩な教育事業を展開する同校で、阿部さんはどのような経験をされてきたのでしょうか。

「プログラムを学びたい」通信制高校に在籍しながら専門校に進学

▲ゲームをより専門的に学びたいとの強い想いから、Wスクールという選択に踏み切った阿部さん

一般的には、専門的な学びというと、高校卒業後の進路と考えられています。しかし、阿倍さんが総合学園ヒューマンアカデミー横浜校に入学したのは、高校2年生のときでした。

阿部 「僕はもともと通信制の『ヒューマンキャンパス高校』で学んでいて、週に 3コマ、ゲームやデザイン、ファッションなど専門的な授業を受けていました。
ゲームが好きだったのでゲーム関係のコースを選びましたが、プログラムについてもっと深く学びたくなり、『プログラムを勉強するなら専門的な学びができる学校に行くしかないな』と思ったのです」

そこで、通信制高校で学びながら、全日制専門校に通う道を選択。中でも通学の便が良かった、総合学園ヒューマンアカデミー横浜校ゲームカレッジに入学します。

そこで阿部さんが選んだのは、ゲームを動かす土台となるプログラムを設計するプログラマー専攻。通信制高校のレポート提出やテストと並行して、プログラミング言語の習得など専門校の勉強を進めるのは相当大変なようにも思いますが、阿部さんはWスクールの生活にすんなりなじんでいけたようです。

阿部 「もともとやりたいことだったのと、入学前から独学でプログラミングを学んでいたこともあり、大変とは感じませんでした。むしろ、プログラマー専攻の 1年生の前期は基礎の基礎から講義が始まり、入門書のような内容だったので、『早く実践的なことを学びたいな』と思っていました」

課題ゲーム制作の授業で、チーム作業のおもしろさを知る

▲学び始めて半年でゲーム制作を実際に体験。ゲームに対する見方も変わったと言う

そんな阿部さんにとって印象的だったのが、1年生の後期から始まった「課題ゲーム制作」のカリキュラムでした。これは、ゲームのプランニング(企画)、グラフィック(映像)、プログラミングを学ぶ学生たちがチームを組んで、半年間かけてゲーム制作を行うというもの。まさに阿部さんが望んでいた、実践的な授業だったのです。

阿部 「このときつくったのは、 Android用の 2Dアクションゲーム。 10名以上のチーム全員で話し合い、いろいろなアイデアを出しながら、プロット(ゲーム全体の筋立て)から練りあげていきました。
ゲームを学び始めてまだ半年しか経っていない状況で、チームのみんなと一緒に手探りでゲームをつくっていくのは、とても楽しかったです」

ゲームにおけるプログラミングは、キャラクターの動きやステージ上のギミック(仕かけ)、演出など、ゲームのおもしろさの核となる部分すべてに関わっています。

阿部 「僕がプログラミングで重視しているのは、動作の部分。どうすれば思った通りにキャラクターが動くのか、どんな動きがプレーヤーにとって魅力的なのかを考えながら、プログラムを組んでいます。
自分が思い描いた通りにマシンが動くことが、プログラミングの醍醐味だと思います」

ゲーム制作を実際に体験することで、阿部さんはチーム作業の楽しさを知るとともに、ゲームに対する見方も変わったと言います。

阿部 「趣味でゲームをプレイしているとき、『ここの演出はこうした方がいいんじゃないか』『この場面はこんなしくみで動いているのかな?』などと考えるようになりました。プレーヤーであると同時に、つくり手の目線からもゲームと向き合えるようになったのです」

より広範なスキル習得を目指して、「技能五輪」に挑戦

▲全国大会の翌年、ロシアでの国際大会に日本代表選手として出場した阿部さん

総合学園ヒューマンアカデミー横浜校ゲームカレッジでは毎年、青年技術者の技能レベル日本一を競う『技能五輪全国大会』で、ウェブデザイン職種競技に学生を送り出しています。2年生に進級した阿部さんが目標に掲げたのは、技能五輪全国大会への出場でした。

阿部 「入学時から、技能五輪のための特別授業があることは知っていました。この授業では、ウェブサイトのデザイン作成だけでなく、サイトの構造設計からさまざまなシステムの実装、セキュリティや情報管理なども含めた高度なプログラミング知識を学べます。
同級生たちは 2年生になると就職活動に入りますが、僕はまだ高校生でした。だからもう 1年在学するつもりで、まだ自分が学んでいないウェブ系の分野や、さらに深い分野に勉強の手を伸ばそうと考え、特別授業を受講することにしました。そして『同じ勉強をするのであれば、技能五輪全国大会に出場してみよう』と思ったのです」

とはいえ、特別授業は平日の通常授業が終わった後と週末に行われます。阿部さんの場合は通信制高校の勉強に加え、通常授業と特別授業の予習・復習、そして課題制作もこなしていかなくてはなりません。

帰宅後も勉強に追われ、休日がなくなってしまうほど、休める時間が少なくなってしまいました。その当時はつらかったと、阿部さんは振り返ります。

しかし猛勉強の甲斐もあり、2018年11月に沖縄県で開催された『第56回技能五輪全国大会』にクラスメイト4名とともに出場。見事、銀メダルを獲得したのです。

阿部 「勉強を進めるうちに『これはいけるんじゃないかな』という手ごたえを感じて、実はひそかに金メダルを狙っていました(笑)」

金賞を獲得したのは、同じ横浜校で学ぶ井上裕貴さん(当時2年生)でした。しかし、阿部さんには思わぬ知らせが舞い込みます。参加資格の年齢制限(大会開催年に22歳以下であること)により、井上さんに代わって、翌2019年8月にロシアで開催される『第45回技能五輪国際大会』に、日本代表選手として出場することになったのです。

技能五輪国際大会メダル獲得の次に見えてきた、新たな目標

▲日本代表選手として出場した国際大会で獲得した、「敢闘賞」のメダルが輝く

技能五輪国際大会は、まさに「オリンピック」の名にふさわしい規模。2019年の大会では世界62の国と地域から1300人以上の選手が参加し、56職種の競技が行われました。

阿部さんが出場したウェブデザイン職種(「Web Technologies」)は、4日間にわたり競技を実施。

1~3日目は個人競技で、与えられた課題に対してさまざまなウェブサイトを、HTMLやCSS、JavaScript等のプログラミング言語を駆使してデータやプログラムを作成し、表現します。各選手が作成したウェブサイトは、審査員によって、機能や動作などの客観的な面とデザインなどの主観的な面の両方から採点されるのです。

最終日の4日目は、「チームチャレンジ」と呼ばれる団体競技。3~4カ国の代表選手がチームを組み、通訳を介しながら共同で課題に取り組みます。

阿部 「僕の場合、『どう動かすか』『どう処理するか』の部分は得意でしたが、デザイン面はあまり得意ではないので、世界大会の対策ではデザイン面の勉強に力を入れました。
チームチャレンジでは韓国、インドネシア、コロンビアの代表選手とチームを組みましたが、実は今年 3月に韓国で行われた合同練習で一緒だったメンバーなので、コミュニケーションに不安はなかったです」

「目指せメダル獲得!」の意気込みで臨んだ技能五輪国際大会で、阿部さんは見事、金・銀メダルに次ぐ敢闘賞のメダルを手にしました。

これはヒューマンアカデミーにとっても、初の快挙となる大きな出来事。帰国後の阿部さんを待ち構えていたのは、全校を挙げての賞賛の嵐と、地元メディアからの取材ラッシュでした。

阿部さんを入学時から見守ってきた担任の阿部博子先生は、「技術面はもちろんですが、技能五輪を通じて自分を表現する力なども鍛えられた。ひと回り大きくなったと感じている」と言います。

阿部さん自身も「いろいろと大変なこともあったものの、自分の力を出し切り、大会そのものを楽しめた。貴重な体験ができ、さらにメダルを獲ることもできて、出場して良かったと思う」と、技能五輪国際大会の感想を語ってくれました。

国内大会の準備を含め、約1年半に及んだ技能五輪に向けた猛勉強の日々から解放されたばかりの阿部さんは、「将来についてはまだ具体的には考えられない」と言います。しかし、おぼろげながら次の目標も見えつつあるようです。

阿部 「プログラミングの勉強は、先に進むごとに『まだ自分が学べていないこと』が見えてきます。日々進化する技術でもあるので、『次は何を勉強しようかな』という感じです。あと 1年くらい学校に残って研究課程を続けたい、という気持ちも芽生えてきました」

自分が好きなこと、興味があることを、とことん追求したい──。

そんな阿部さんにとって総合学園ヒューマンアカデミーは、格好の学びと自己成長の場と言えそうです。