東京市場まとめ
1.概況
日経平均は3日続落となりました。前日の米国市場ではハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数が3.1%下落したことで、日本市場でも売りが優勢となり日経平均は165円安の39,400円で寄り付きました。9時台は荒い値動きとなり、節目の39,000円を割り込むと、9時31分には679円安の38,886円と本日の安値を更新しました。その後は銀行株等、内需株を中心に持ち直し、前場は225円安の39,340円で取引を終えました。
後場はAIや半導体関連銘柄を中心に引き続き安く、日経平均も軟調に推移しました。14時台には再び39,000を割り込み下げ幅を拡大するも、その後やや持ち直すと548円安の39,016円で大引けとなりました。
新興市場では、東証グロース250指数が反発、1.4%高となりました。
2.個別銘柄等
アドバンテスト(6857)は11.1%安の8,162円をつけ、大幅続落で取引を終えました。1銘柄で日経平均を269円押し下げました。中国のAI企業「DeepSeek(ディープシーク)」が米国のAI産業の脅威になるとの懸念が日本市場にも波及し、日本の半導体関連銘柄も軒並み下落となりました。ソシオネクスト(6526)は6.7%安、東京エレクトロン(8035)は5.7%安で取引を終えています。
三菱重工業(7011)は7.0%安の2,125円をつけ続落となりました。AI需要によるデータセンター投資増加の恩恵を受ける電力インフラ関連銘柄として買われてきたものの、ディープシークのニュースを受けて、生成AI向けのデータセンター投資が鈍るとの警戒感が売りを呼びました。同様に原子力発電部品を手掛ける日本製鋼所(5631)も9.9%安と大幅下落となりました。
任天堂(7974)は一時5.3%高の10,310円をつけ、上場来高値を更新しました。下落が厳しい半導体関連銘柄に代わって次の成長テーマとしてコンテンツ関連産業に買いが広がりました。
ファナック(6954)は0.1%高の4,695円をつけ、小幅に反発し取引を終えました。27日発表の第3四半期決算で、通期の当期純利益を上方修正し、前期比4.5%増の1,392億円になるとの見通しを公表、一部には物足りない内容との声もありながら株価は小幅に上昇となりました。
日立建機(6305)は3.4%高の3,881円をつけ、3日続伸となりました。27日の第3四半期決算で、通期の当期純利益を従来予想から40億円上方修正し、840億円(前期比10%減)になりそうだと発表したことで、買いを集めました。
コーエーテクモホールディングス(3635)は一時6.9%高の1,996.5円をつけ、昨年来高値を更新しました。27日の第3四半期決算で、営業利益は前年同期比25.8%減の150億円と減益となるも、25年1~3月にかけては未発表ゲームタイトルの発売が控えていることから、期待先行での買いが優勢となりました。
VIEW POINT: 明日への視点
日経平均は米国市場でのAI、半導体株安を受けて3日続落となりました。値嵩株の下げにより、日経平均は下落となりましたが、プライム市場では値上がりが1,093銘柄と全体の約67%を占めており、全面的なリスクオフの展開とはなりませんでした。AI・半導体関連は引き続きニュースによって荒い動きが予想されます。
本日引け後の決算発表は、日本では日清製粉グループ本社(2002)、米国ではボーイング[BA]、ロッキード・マーチン[LMT]、ゼネラルモーターズ[GM]、スターバックス[SBUX]が予定されています。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太)
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