FRB(米連邦準備制度理事会)の懸命な量的緩和政策(QE2)によって、バーナンキ議長が公言した「株高の資産効果による消費の拡大」は、部分的に実現しつつあるように思える。自動車販売は好調で、大型車が伸びている。
クリスマス商戦も好スタートを切り、宝飾品のティファニー、高級バッグのコーチや、アパレルでもアバクロンビー&フィッチといった企業の売り上げは好調で、株価も堅調に推移している。米国では中堅層から富裕層の消費者マインドは、好転し始めているようだ。雇用は依然厳しいが、製造業は好調を持続しており、個人消費の浮揚が加われば、バーナンキ議長の思惑どおりの展開といえよう。
しかし、QE2の弊害も鮮明化しつつある。その最たるものは、膨大な余剰マネーがコモディティ市場に流入している点だ。
CFTC(米商品先物取引委員会)が発表しているヘッジファンドの先物ポジションを見ると、WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油先物は過去最大の買い越し。金、銀、銅をはじめ、非鉄金属も高水準の買い越しが続いており、トウモロコシ、大豆等の穀物や、コーヒー、砂糖、綿に至る日常品まで、大量の買いポジションが形成されている。