新興諸国の物価動向に懸念が高まっている。中国、インドは連続的な金融引き締めを実施しているが、昨年3回連続利上げで小休止していたブラジルも、ルセフ新大統領の下で利上げを再開した。

 こうした成長国は旺盛な需要で物価上昇圧力がかかりやすいが、そこにコモディティ高が加わって物価は容易ならぬ上昇カーブを描いている。資源・エネルギー価格や、穀物に代表される農産物価格の高騰は、新興国の需要拡大や天候要因で説明されることが多い。

 しかし、決定的なのは、そうした実需に加えて膨張した投機マネーが大挙して商品市場に流入している点である。FRBが米国の雇用改善のために量的緩和策にまい進すればするほど、ヘッジファンドは猛威を振るうわけだ。