今年の米クリスマス商戦の出足は、きわめて好調だ。NRF(全米小売業協会)によると、感謝祭週末の売上高は「店頭+ウェブサイト」合計で前年比16%増と、好調な滑り出しだ。サイバーマンデー(感謝祭明けの月曜日)のネット売り上げも、コムスコアによれば同22%増と過去最高となった。

 クリスマス商戦は、見事なスタートダッシュを切ったといってもよい。しかし、過去の例では、この後に「中だるみ」が訪れる。NRFは、クリスマス商戦の通期の見通しを、前年比2.8%増と予測している。昨年は同5.2%増と絶好調であったが、今年は雇用環境の低迷、欧州の混乱が響いて、伸び率が鈍化する 見通しだ。1995年以降の伸び率の平均は3.3%増であり、「やや平年を下回る」といった状況である。

 米国家電協会によると、クリスマスギフトで欲しい家電・電子機器ランキングは、(1)タブレットPC(パソコン)、(2)ノートPC、(3)テレビ、(4)電子リーダー、(5)ビデオゲーム、である。商品名では、iPhone、iPadやギャラクシー、キンドル等である。つまり、企業では、アップル、サムスン電子や、アマゾン、グーグル、イーベイ等のネット企業になる。

 テレビ、デジカメ、ゲームなどでは、日本勢もそれなりの存在感を見せるが、いちばんの売れ筋のスマートフォン、タブレットPCでは、その影さえない。クリスマス商戦の人気商品を見ると、世界のエレクトロニクスの覇権が、明らかに日本から韓国・台湾・中国勢、そしてアップルに移行したことが実感されよう。

 残念ながら、クリスマス商戦好調で買うべきは、アップル、サムスンであり、ソニー、パナソニックではない。12月1日、サムスンの株価は史上最高値108万ウォンをマークした。一方、ソニー、パナソニックの株価は80年代の水準で苦悶している。