アウトドアブランドのレインウエアといえば、何万円もする高価なものが多い中、作業着専門店のワークマンが2013年に発売した防水防寒スーツ「イージス」は、上下で4900円(当時。税込み、以下同)と破格だった。
もともと同社はプロの職人がメーンの顧客だ。イージスは、作業着の上に着るレインウエアとして発売された。東北など雪の多い地方では、屋外作業での防寒服として、作業着の上にレインコートを羽織る習慣があったが、レインコートに防寒機能が付いたものはなかった。そこに目を付け、中綿を入れた「防水防寒スーツ」というカテゴリーで製品化したのがイージスの始まりだった。
折しも、08年のリーマンショック以降、「職人から一般客へと客層を広げなくてはならない」と会社全体が危機感を持っていた時期だった。そのため、イージスには一般受けする蛍光色で細身のデザインが採用された。
モデルになったのは、大手釣り具メーカーの防寒着だ。釣り用の防寒着は上下で3万円程度だが、これを4900円で販売した。知る人ぞ知る商品となったが、大ブレークとまではいかなかった。