来期のパナソニック役員人事が発表され、去就が注目されていた津賀一宏社長兼CEOによる体制が8年目に突入することが明らかになった。過去2代のトップは6年で交代しており異例の長期政権。ますます次期社長レースに注目が集まるが、話題はそれだけではない。
一部業界関係者が秘かに注目したのは、社外取締役の人事だ。
6月開催予定の定時株主総会を経て正式に社外取締役となるのは、大手建設機械会社コマツの野路國夫会長。社内外から「パナが金融や経営コンサル系以外から社外取締役を招くのは珍しい」と驚きの声が上がる。
コマツと言えば、戦後早くから中国に進出して成功した日本企業の代表格。
伏線は二つあった。4月からの社内カンパニー「中国・北東アジア社」(詳細は後述)新設と、昨秋のパナ創業100周年フォーラム初日の講演だ。1時間半の講演の中で、津賀パナ社長兼CEOは創業者・松下幸之助と中国との関わりなど、4度までも中国に言及。まるで、“中国へのラブコール”のようだった。
野路会長の社外取締役就任は、中国に関する知見を披露してもらうことが狙いとみていいだろう。そして一連の動きは、米テスラの迷走で車載電池事業の先行きが不透明な中、パナ自身をアップデートするには「巨大市場中国の攻略だ」という覚悟の表れなのかもしれない。