Photo:森田直樹/アフロ
2月下旬、ある地方銀行の首脳人事に業界がざわめいた。奈良県に本店を構える南都銀行が元金融庁幹部の石田諭氏を招聘し、6月から副頭取に据えると発表したからだ。
旧第一勧業銀行出身の石田氏は経営共創基盤に在籍中、前金融庁長官の森信親氏に請われて金融庁に出向したという人物。石田氏は2013年から18年までの間、地銀に経営改革を促す地域金融企画室長など要職を歴任した。石田氏の「鋭く物申す」(金融庁幹部)姿勢が、地銀に容赦なく自己変革を迫った森前長官に評価され、「任期延長となった」(同)という。
そんな“森金融庁”の実力者が、監督対象だった地銀のナンバー2に、しかも44歳の若さで就任したため業界の耳目を集めたわけだ。
就任の経緯について、南都銀は「今年1月ごろにこちらから石田氏に打診した」(経営企画部)と明かす。ただ、伏線は数年前に敷かれていたもようだ。