テクニカン代表取締役の山田義夫氏山田義夫(テクニカン代表取締役) Photo by Toshiaki Usami

 気温がマイナス20度の状況で、外出する場合、通常の服装でもある程度の時間は耐えられるだろう。一方、マイナス20度の液体に漬かっていたら、あっという間に体温を奪われて耐えられないどころか命を落としてしまうだろう。

 気体より液体を使う方が、より速くモノを冷やすことができる。この原理を利用したのが、テクニカンが開発した「液体式急速冷凍機 凍眠」だ。

 テクニカンの創業者である山田義夫は、30年前に食肉を扱う会社に勤務していた。当時は、外食産業がまだ伸び盛りの時代。外食産業向けの食肉の取扱量は1年間で倍になるペースで伸びていた。

 1人前の量に切って冷凍し、製品として出荷していたのだが、冷凍にはほぼ丸1日かかった。このままでは受注に追い付かない、冷凍のスピードを上げなければと山田は考えていた。

 山田は60年近くダイビングを続けている。海水の中での体の冷え方、熱の奪われ方を実感していた。そこで、液体を利用して食品を冷凍することを思い付いた。

 ただ、水は0度で凍って氷になってしまう。そこで山田が目を付けたのがアルコールだ。